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金価格の急落時も、金投資家インデックスは安定した水準を保つ

最新の金投資家インデックスは、金の売却量が購入量を上回ったものの、購入者数は売却者数を上回ったことを明らかにしました。

今年4月の金価格の急落は大きなものでした。しかし、2013年6月においては、金は更なる大幅な下げを経験することとなりました。ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュは、この間のブリオンボールトのユーザーの動向をここで解説しています。

ブリオンボールト金投資家インデックスは、ドル建て金価格は14.5%下げたにもかかわらず、6月に53.0と前月と同水準の安定したものとなりました。

このインデックスは、オンライン金投資サービスを個人投資家に提供する世界有数のブリオンボールトの売却者数と購入者数のバランスを表すものです。このインデックスが50である場合、その月の月間ネット購入者数とネット売却者数が完璧に一致したことを意味します。



今年4月の金価格の急落は、新規購入者の急増を引き起こし、金投資家インデックスを過去16ヵ月で最も高い水準の58.6へと引き上げました。

5月に金価格は再び下落し、そして6月には、ユーロ建てでは15.0%、ポンド建てでは1983年2月以来の1ヶ月間の最大の下げ幅(14.9%)となるなど、更なる下げを見ることとなりました。この大幅な下げは、個人投資家の金投資に対する傾向を2分極化することとなりました。

6月の激しい価格動向は、長期保有目的の金投資家の利益確定を促し、近年金投資を始めた人々の損切を已む無くさせました。しかし、月間ネット購入者数は、売却者数を上回ることになりました。これは、より多くの金投資家が継続してポートフォリオに金を加えることを選択したことを意味します。

金投資家インデックスは、欧米の個人投資家の金投資に対する傾向を表します。これは、24時間運営されている、個人投資家向けオンライン金投資サービスにおいては世界最大のブリオンボールトにおける実際の取引データを基にまとめられています。

ブリオンボールトのユーザーの90%は、米国、英国、ユーロ圏に居住しています。そして、このインデックスは、毎月の月間のネット購入者とネット売却者のバランスを測り、すでに金を保有しているユーザー全体の中の割合で表しています。この数値が50以上である場合、ネット購入者がネット売却者を上回ったこととなり、金投資に対して強気であることを意味します。それに対し、この数値が50以下だった場合は、売却者数が購入者数を上回ったこととなり、金投資へ傾向が弱気であることとなります。

2009年9月からのブリオンボールトの顧客動向をまとめている金投資家インデックスは、欧州債務危機の渦中、また英国で暴動が起きていた、2011年9月に71.7と最高水準を記録し、金が危機時の保険であることを証明しました。近年この危機感が薄れてくる中、2013年6月には3ヶ月続けて価格を下げることとなりました。そのために、長期保有目的の金投資家が利益を確定し、またより短い期間投資を行なっていた人々は損切を行なう売却を行なったのでした。

しかし、より多くの人々は過去3年で最も低い水準へ価格を下げたこの機会を買い時とみなしたようです。そして、金投資家インデックスは5月と同水準である53.0を維持しました。

ブリオンボールトにおいては、世界の個人投資家が、オンラインで希望の価格を付けて金の売買を行なうことができます。そのため、金投資家インデックスは、個人投資家の金投資の動向を表すことを可能とする、稀な指標であると言えるでしょう。

また、ブリオンボールトがオンライン上日々公表しているディリーレポート上では、ブリオンボールトユーザーが、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポールで特定保管している金の総量を確認することができ、6月にその総量が、重量にして前月比1.8%減となったことが分かります。これは、ブリオンボールトで保管されている金減少量としては、四半期のものとしては、2005年4月にサービスを開始して以来の規模となり、1.2トンの減少と、総保管量を、過去8ヵ月で最低水準の31.8トンとしました。そして、これは、今年3月のピーク時と比べると3.7%減となります。

しかし、4月から6月の金価格の下げは、取引高を高めるものともなりました。金の取引高は、第2四半期に、前四半期比31%増加し、7.3トンの金がブリオンボールトのオンライン市場で取引されました。

確かに売却量は購入量を上回りました。しかし、購入者数が売却者数に勝ったことからも、金の魅了は個人投資家の中で継続的に広がりつつあることが分かります。その理由は、より多くの人々が、好調な株式市場や量的緩和規模の縮小は、根本的に存在する危機を隠しているだけであり、希少価値のある金が持つ、危機時の保険という役割は未だ消えていないと考えているためなのです。

資産保護のために金の購入をお考えですか。金の調査団体であり、金現物市場を開拓しているワールドゴールドカウンシル(WGC)が資本参加をし、一般投資家へそのサービスを推薦している、オンライン金取引において世界一の実績を持つブリオンボールトでは、日本のお客様に資産の地政学的分散投資を可能とするスイス、英国、米国、シンガポールでの金保管サービスを提供しています。
Adrian Ash, 03 Jul '13
エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチ主任として、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

ブリオンボールト

プロフィール

ブリオンボールト

BullionVault

英国最大手のオンライン金地金取引サービス提供。英国女王賞を2009年に革新部門、2013年に国際取引部門で受賞。7万人を超える顧客の約38.7トンの金地金を保管。 ロンドン貴金属市場協会の正会員。ワールド ゴールド カウンシルの関連会社とロスチャイルドファンドが資本参加。

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