ゴールドコラム & 特集

Vol.10-地震 雷 火事 かあちゃん!?

一枚一枚、打ち上がった金箔を抜き出しています。このとき、かあちゃんの目が光る!

前回もお話しましたが、箔打ち機で箔を打つ様子をみているとその迫力、音、振動に驚きます。もし、ちょっとズレて指を打ったら!? 考えただけで涙がにじんできそうです。
一方、職人は何食わぬ顔をして機械に向かっています。怖いもの知らず…と思っていたのですが、あったのですよ。箔職人にも怖いものがっ
それは、職人いわく「かあちゃん(奥さん)」です。なんと!
1万分の1?2ミリの薄さとしなやかさを誇る金箔、金沢が世界に誇る金箔をつくる技をもつ職人といえども、奥様が怖いのね… いわゆる恐妻家? さらに職人に言わせると、「かあちゃんの言うことを素直に聞けないとダメだね」。


とうちゃんをたてながら陰で支えるかあちゃんは、本当はやさしいのです。(と思います)

何やら意味ありげですなあ、と思いながら続きを聞いてみました。
職人である旦那さんが打ち延ばした箔を打ち紙から抜き出すのは奥さん。このときに品質の良し悪しを見極めながら作業します。打った本人である職人は別として、誰よりも先に客観的にその仕上がりを目にするのは奥さんです。仕上品として問屋に納める前のチェック機能でもあります。「これ、もっと打った方がいいんじゃないの?」 とか
「これじゃあ、納品できんわ」 とか
いろいろ指摘されるそうです。キビシイですわあ。

しかし、この厳しい目を通ってこそ、良い品ができるのだそうです。もしも「オレの腕にケチつけるな!」と、かあちゃんのいうことを無視した結果、問屋で不良品と言われてしまったら…その方が職人として致命的です。信用が落ちてしまいます。
興味深いことに"腕のいい職人"といわれるのは、大抵かあちゃんの言葉を素直に受け入れて「よっしゃ!」と機械に向かう職人だそうです。

ナルホド、そういうことですか。
つまり、かあちゃんは上司であり、司令塔なわけですね。 昔から恐れるものとして「地震 雷 火事 親父」といわれますが、どうやら箔の職人は違うようです。敬意を表して、"恐れる"ではなく"畏れる"としまして、「地震 雷 火事 かあちゃん」といったところでしょうか。

いやあ、箔職人の世界は深いですね? 勉強になります。 私もいつか家庭を持った日には、とうちゃんにはビシッと…

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プロフィール

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HAKUZA

世界に誇る伝統の技を残し、世界遺産となった中尊寺金色堂など重要文化財の金箔を手がける。2002年、「純金プラチナ箔」(特許取得)を開発。箔本来の力と美しさを「箔品」として表現し、「箔座本店」をはじめとする石川県金沢市の直営店のほか、東京日本橋で旗艦店「箔座日本橋」を展開。

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