ゴールドコラム & 特集

ゴールド – プラチナスプレッド

■過去1年の動き



ゴールドとプラチナの価格が逆転してちょうど1年が経過しました。その間基本的にはほぼ一直線でゴールドとプラチナの値差は広がっていきました。そして一年経った今、その値差、ゴールドのプラチナに対するプレミアムは現在過去最高レベルの270ドル台(円建てではほぼ1000円/g)まで広がっています。こんなにゴールドが高くなりプラチナが安くなったことは今までありませんでした。

「ゴールド・プラチナスプレッド逆転の理由」

(ゴールドが買われる理由)
・世界情勢不安による逃避資金の流入
・米FRB金利上げにより、弱材料にけじめ

(プラチナが売られる理由)
・世界情勢不安による産業用需要減少
・同じくリスクオフによる投資資金の離脱
・原油安による商品相場全体の下落
・南アランド安
・中国の宝飾需要の減退
・中国経済スローダウンのため自動車販売への不安

これらの状況を考えると、商品市場全体から投資資金が流出する状況の中、ゴールドだけが、投資家の不安のために資金が流入という特殊な立場にあることがよくわかります。

■過去30年の動き



参考までに過去30年のゴールドとプラチナのスプレッドの流れを見ておきましょう。

ゴールドを中心にして見た場合(ゴールド価格-プラチナ価格)の過去30年のスプレッドの推移は以下のようになります。

Gold – Platinum
最大 プラス269ドル
最低 マイナス1184ドル
平均 マイナス181ドル

過去30年の平均的なゴールドとプラチナの値差関係はだいたい200ドル近くプラチナの方がゴールドより高いというものです。そしてプラチナとゴールドの値差がプラチナ高・ゴールド安で最大に広がったのは、2008年2月末、南アの電力不足からの鉱山供給への不安の高まりにより、プラチナが2300ドルまで急騰(これが史上最高値でした。)、プラチナの方がゴールドよりも1200ドル近く高くなりそれが歴史上最もプラチナとゴールドの値差が広がった時です。そして、逆にゴールドがプラチナよりも高くなり、それが過去最高になっているのが、まさに今この時であり、それが270ドルくらいです。過去30年でゴールドがプラチナを逆転していたのは2011年8月から2013年1月までの約1年半の期間、そして今回の2015年1月から1年を超えた今だけです。これは30年間の日々で考えると360ヶ月の中のほんの28ヶ月に過ぎません。ということはきわめて稀な事象だと考えられます。しかし、この市場環境を考えると今回の逆転劇はまだまだ長引きそうな気配です。

ゴールドを買う理由はともかく、プラチナが売られる材料は一昼夜で解消できるようなものは一つもなく、逆にその解決のためにはまだまだ時間がかかりそうなものばかりです。

ただ過去30年の例を見ればわかるように、この逆転条件がマーケットの常態になるとは思えません。鉱山生産量だけをとってみてもプラチナはゴールドの20分の1程度しかありません。自動車の販売も中国・米国においても好調な状態が続いています。根本的なファンダメンタルズはやはりプラチナが上昇するべきことを示しています。プラチナがゴールドよりも安い状態が未来永劫続くとは考えられません。きっといつかはまた逆転してプラチナのプレミアムになる日が必ず来るでしょう。ただ問題は果たしてそれがいつになるか、です。最低でも1年くらいはゴールドのプレミアムが続きそうです。この史上最大のプラチナのディスカウント、買う時は長期的な投資スタンスが必要です。


岡藤商事株式会社

プロフィール

池水 雄一

Yuichi Ikemizu

スタンダードバンク東京支店長

1990年クレディ・スイス銀行、1992年三井物産貴金属リーダー、2009年より世界一の金取引量を誇るスタンダードバンクの東京支店長に就任し、現在に至る。一貫して貴金属ディーリングに従事し、世界の貴金属ディーラーでBruce(池水氏のディーラー名)を知らない人はいないと言われている。著書に「THE GOLD ゴールドのすべて」など。

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