ゴールドコラム & 特集

新著紹介:金投資の新しい教科書

今週は、思いっきり宣伝です! 先週発売になった私めの新著「金投資の新しい教科書」の紹介です。この本は私にとっては4冊目の本にあたります。ついでなのでこれまで出した4冊全部を紹介します。


■1991年「ゴールドディーリングのすべて」(神保出版会)


一冊目の「ゴールドディーリングのすべて」は初めての本。昔、GENEX(現Ovalnext)という相場情報会社があり、そこの雑誌に連載した記事をまとめて加筆して一冊の本にしました。この本は長らくゴールド業界では、(自分でいうのもなんですが)「教科書」として、いろんな会社の貴金属部で回し読みされていました(買ってよね!笑)。当時は、ディーラー間の横のつながりも強く、僕は各商社に割り当てを作って君の会社は10冊ね、という具合に各社にノルマを命じたりしてました。こうやってこの本は(ゴールド業界だけで)スマッシュヒットとなりました。当時みんなが声をそろえてどうしたのこれ?と聞くのはその表紙。私がガードマンの格好をして金塊の前で写っているのですが、当時はランをはじめるよりも遥か昔の話。ちょうどもっとも太っていた時期でありました。編集部のおふざけに乗ったことを今でも後悔しています(笑)。この本はもはや20年以上も前の本であり、もちろんもはや絶版となっています。それ以降も長い間、ゴールドマーケットを説明したような本は一切登場せず、この本はそれなりの価値を保っていました。ちょうど商社に入った新人の教育用には最適な本だったといえます。


■2010年「THE GOLD ゴールドのすべて」(エイチスクエア)


 そしてそれに続く「The Gold」は一冊目の「ゴールドディーリングのすべて」の改訂版のような感じで作りました。時代は流れて次代はウェブ時代に。今度はGENEXの後継会社であるOvalnext社のWebsiteに、「ゴールドディーリングのすべて2」を連載。もう何年も時が流れてマーケットも変り、新たに書き直す必要を感じたからです。これも連載を何年分か貯めて、そして新たな本に編集しなおしました。さすがにタイトルは「ゴールドディーリングのすべて2」ではうまくないだろうということになり(もうこの時点でずっと昔に絶版になっていました)、手に入らない本でもあったので、タイトルは編集部の考えでずばり「The Gold」。これは相当おこがましいタイトルで、またこのときの編集部の気合がとても入っており、写真がたくさん入った、本人としては笑えてしまうというか、こっぱずかしいようなオープニングになっています。難点はやはりそれだけ凝ったがために価格も高いこと。僕の個人的な望みは「新書」のような本で誰でも気軽に買って読めるようなものにしたかったのですが残念ながらそうはなりませんでした。そこはやはり出版社側の事情もあるということで、とても立派なハードカバーの本になりました。こちらはまだ在庫あり。ゴールド・マーケットに関するいろんな知識を網羅しています。実際に取引をするトレーダーに向けた本とも言えます。もちろんゴールドマーケットに興味がある個人投資家も知っていて損はない内容です。


■2011年「めちゃくちゃ売れてる投資の雑誌ザイが作った金投資の本」ザイ編集部


 3冊目は経済雑誌である「ダイヤモンド・ザイ」で取材されたのをきっかけに作られた本です。この本は基本的に口述筆記。僕がライターさんを前に何時間もとにかく話し続けます。まるでなが?いセミナーをやっているように。それをベースにライターが文章を起こし、それを訂正・加筆するという作業でした。これは自分で書くよりも非常に楽でした。特に担当してくれたライターさんがとても優秀だったこともあり、1を聞いて100を知るようなそんな感じでした。そのため、この本で僕がやったことはひたすらしゃべっただけ。そして気がつけば本ができていたという不思議な本でした。


■2013年「金投資の新しい教科書」日経新聞出版社


 そしてこの4冊目「金投資の新しい教科書」。この本は正真正銘の書き下ろし本です。それだけにこれまでの本の中ではもっとも時間がかかった本でもあります。出版社の担当の方を話しをし始めて、実際に本になるまでほぼ2年以上の時間がかかりました。時間かかりすぎ。まあ出版社がよく我慢して待ったものだと思います。(他人事のように。。笑)

内容はこれまでの本とは少し形を変えて、Q&A方式のものにしました。基本的には金に対してほとんど知識がない一般の方でも興味を持って読めるようになるべくやさしく書いたつもりです。金投資の方法論というよりは、より普遍的な金に対する知識、背景を解説しました。目次は以下です。教科書と銘打ってますが、どちらかといえばもっとリラックスした読み物というイメージのほうが近いかもしれません。きっとたくさんのへえ?という箇所もあると思います。

第1章 金の「価値」について知ろう
・なぜ今、金が注目されているのですか?
・そもそも金の価値って何ですか?
・金の価値は、どう表しますか?
・何の目的で金を買うのですか?
・金の需要として最も大きいものは何ですか?
・金と他の金属との違いは何ですか?
・金は工業製品にも利用されていますか?
・銀について、その特徴を教えてください
・プラチナとパラジウムについて教えてください

第2章 価格の変動について知ろう
・日本人は金を買っているのですか?
・どんなときに金は売られるのですか?
・新聞や雑誌で見る「金価格××ドル」とは?
・金にとって転換点となる出来事は何ですか?
・金の歴史的最高値はいつ、そしていくらでしたか?
・金の最安値はいくらですか?
・金にも失われた20年があるのですか?
・2000年代、金価格はなぜ上昇に転じたのですか?
・リーマン・ショック以降、金の価格の動向は?
・金の価格は、何に最も影響を受けますか?

第3章 金の投資商品、投資方法について知ろう
・預金や債権や株式と、金とでは何が違いますか?
・金には税金がかかりますか?
・金にはどんな投資商品がありますか?
・金地金を買うときの注意点はありますか?
・金貨は投資の対象になりますか?
・純金積立ては、どのような仕組みですか?
・購入した金の保管方法は?
・金ETFとは、どんな存在ですか?
・金ETFは、どんな仕組みですか?
・金の先物取引とは、どんな仕組みですか?
・世界で一番大きい金の取引所はどこですか?

第4章 広い視野で金の市場を見てみよう
・各国の中央銀行も金を持っているのですか?
・中国がたくさん金を買っていると聞きますが?
・中国以外の国は金を買っているのですか?
・金本位制に戻る可能性はありますか?
・東京商品取引所での金取引について教えてください
・金を売ると消費税が還付されると聞きましたが?
・消費税が上がると、金取引にどんな影響がありますか?
・消費税以外にも金に関する税金はありますか?
・金を持つと、総合的にどんなメリットがありますか?
・金は長期投資が基本と言われますが、理由は何ですか?

第5章 人間と金の深い関係について知ろう
・人間と金の関係は、いつから始まったのですか?
・「錬金術」による成功例はあるのですか?
・なぜ日本は「黄金の国ジパング」と呼ばれたのですか?
・金は、どこで採れるのですか?
・金の生産コストはどれくらいですか?
・地球上に金の埋蔵量はどれくらいありますか?
・金が売り出されるケースが増えているようですが?
・金の利用で注目される都市鉱山って何ですか?
・メルティングポイントとは何ですか?
・オリンピックの金メダルは金製ですか?

以上
★池水氏の新著『THE GOLD ゴールドのすべて』好評発売中!!
http://www.hsquare.jp/the_gold.html
★池水氏によるブルースレポート
http://www.ovalnext.co.jp/bruce/

岡藤商事株式会社

プロフィール

池水 雄一

Yuichi Ikemizu

スタンダードバンク東京支店長

1990年クレディ・スイス銀行、1992年三井物産貴金属リーダー、2009年より世界一の金取引量を誇るスタンダードバンクの東京支店長に就任し、現在に至る。一貫して貴金属ディーリングに従事し、世界の貴金属ディーラーでBruce(池水氏のディーラー名)を知らない人はいないと言われている。著書に「THE GOLD ゴールドのすべて」など。

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