亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

買い残の整理が急ピッチで進む金市場。ショートの増減を交えての展開

2016年05月30日 20時17分01秒 | 金市場

報じられているようにイエレン議長が利上げに前向き発言をしたハーバード大でのイベントは、元より企画自体は金融政策の方向性等を議長から話してもらう場ではなく、過去の業績などを話してもらうというのが目的だったようだ。したがって、足元の動向を示唆するような関連発言がないことも市場関係者は覚悟していたようだ。ところが司会者のマンキュー教授が質問を振って、それに議長が応えたのが、週末から報じられた「経済成長が見込み通り続けば、今後1~2ヵ月以内での(in the coming month )利上げがおそらく適切」というものだった。

もっとも、現状では遅かれ早かれ利上げの方向にあることを市場に織り込ませようというFRBとしてのコミュニケーション上の演出という捉え方をするべきなのだろう。週末の5月の米雇用統計の結果を受けた週明け6月6日(月)のイエレン議長の講演が最大注目事項に変わりないが、今回の意見表明を受けて6日はさらに細目を語るということになるのかもしれない。

さてNY市場はメモリアル・デーで本日は休み。3連休を受けたポジション調整に加え議長の発言もあって金はさらに売られた。本日のアジアの時間帯は1200ドルの攻防戦となったが、際どい所で1200ドルを維持して推移している。もっとも、明日のNYが本番ではあるが、基本的には、目先はこれ以上に深押しは回避されるのではと思っている。

先週末に米CFTC(商品先物取引委員会)が発表した5月24日時点での先物市場でのファンドの投資状況(ポジション)が注目された。FOMC議事録が公表され複数の地区連銀総裁による連日の利上げ前向き発言が伝わる中で金が売られていた際のデータとなることによる。

結果(オプション取引除く)は前週比で重量換算にして買い建て(ロング)は154トンもの減少。売り建て(ショート)は逆に32トン増加していた。その結果ネットのロング(正味の買い越し)量は185トン減少の643トンとなった。5月3日のピーク時から202トン減ったことになる。急ピッチで買い残の整理が進んでいる。ちょうど5月3日の時点の逆で、その際は1週間でネット158トン増加した。

今回の特徴はロングの減少とともにショート(売り建て)が増えていること。さらに水準が切り下がった先週後半に金ETFの残高に増減が見られないこと。こうした際には減るのがこれまでの常道だが、ここまでのところは減っていない。先物市場でのショートは重量換算で263トンあり、これが1200ドルの攻防に際して買い戻されているのだと思われる。アジア実需は音なしの構え。1200ドルを大きく割れるのを待っているのだろう。


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