亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

実需の復活が見られそうな春の金市場

2017年03月24日 23時42分06秒 | 金市場
今週は22日水曜日の午後にセミナーがあり、先週末にその下準備で金市場関連の情報を当たっている中で、インドの2月の金輸入が前年の27.4トンから50トンに82%増加というロイターのニュースが目に付いた。

昨年11月9日に500ルピー、1000ルピーの2種類の高額紙幣を突然使えなくし、年末12月30日までに交換しないと無価値にという荒っぽい政策をとったモディ政権(インド人民党)。インドの小売りの現場が大混乱に陥ったのは、盛んに報道されていたのでご存じのとおり。銀行口座を持つ人間が全人口の4割程度というインドはキャッシュ決済の国。この2種類の紙幣が、流通する通貨価値の86%を占めていたとされ、流通の現場は大混乱で金および金宝飾品の売り上げは大きく落ちこんだ。

大きく影響を受けたひとつが、金の婚姻需要。10月下旬から11月中旬にかけて、ヒンズー暦の新年にあたり、そのタイミングで結婚するカップルが多く、結婚式ラッシュで婚姻の金需要が1年でもっとも高まる時期でもある。そもそも結婚式の費用を支払おうにもキャッシュ不足でできず、泣く泣く式を延期したカップルも多かったとされる。つまり昨秋のインドの婚礼需要はすっぽり抜け落ちることになった。中国はといえば、そのタイミングで対ドルでの人民元安を抑えるために、人民元売りにつながる金輸入の窓口規制に乗り出していた。

結局、株式市場でのトランプ・ラリーが続く中で、債券が売られ米長期金利は上昇。金価格が年末にかけて大きく水準を切り下げる中で、通常なら安値拾いのインド、中国の需要の高まりが見られるのだが、昨年は状況が違った。結局、この実需の不在が、金市場では1150ドル割れの売られ過ぎ状態の背景のひとつでもあった。

ただし、さすがにこのキャッシュ蒸発騒動も、ここにきて収まり、金需要の復活が見られ始めている。それが2月の輸入急増だが、4月、5月にヒンズーのお祭りがあり、春の婚姻シーズンでもある。2月の輸入増加は、それを映したものといえる。つまり実需が締まった市場環境がこれから始まるわけで、そこに政治リスクがらみの話題が乗ると、金は強含みに推移する局面がみられることになる。

さて、今夜は延期されたオバマケア修正案がどうなるか・・・。

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