亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

引き続き大きなショートを抱えているNY金

2017年07月24日 22時39分37秒 | 金市場

NY金は、大方の予想を超える6連騰で1250ドルを突破。夏休み入りで大きな動きはないという見方もあるが、確かに大きな動きはないが、休んではいない。先週末のCFTC(米商品先物取引委員会)発表のデータでは、オプショント取引抜きで前週とロング(買い建て)、ショート(売り建て)ともに、ほとんど変化がないという非常に珍しい結果になった。

7月11日時点で、ファンドのショートが過去最高規模の490トンまで膨れ上がっていた。6月14‐16日のFOMCにて、年内もう1回の追加利上げの意向が示され、同時に資産縮小を「早期に」やると宣言。さらに「インフレの低迷は一時的」とイエレン議長自身が記者会見で語ったこともあり、米長期金利は上昇、金は調整局面入りに。

そこに、6月27‐28日の日程でポルトガル、リスボン郊外の保養地シントラで開かれたECBのシンポジウムが加わることに。口裏を合わせたかのような(実際に、合せた)欧米中銀総裁による“出口”方向を意味する“引き締め”というより、“異次元緩和策終了”の大コーラス。

これで潮目が変わったとばかりに、金市場ではファンドが一気にロングの手じまい売りし、同時にショートの積み増しにポジションを傾け買い越し残(ネット・ロング)は187トンと016年1月以来の低水準に。しかし、ショート単体で490トンになっていた。21日に明らかになったデータでは、その数字に変化はなかった。7月14日に発表された消費者物価指数(CPI)や小売売上高の弱気の結果に対し金は上昇したが、意外にもポジションに変化はなかった。今週も注目指標の発表が続くのでどうなるか。

為替市場で2014年初め以来の高水準)まで膨れ上がったドル円のドルロング・円ショート(円安期待)。このドルロング(円ショート)が膨らんだ状態と金ショートの拡大は、対になったトレードと言えるもので、米長期金利の上昇を読んだ上での金ショートといえる。足元の円高、金高は、ファンドにとって思惑外れの逆行が起きていることを表す。先週、まずはシントラム前の水準まで戻った金は、今週も上値トライとなると見られるが、売りをどうこなすのか見もの。



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