亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

巨額の経常収支赤字国が通貨安政策を唱える自殺行為

2018年02月23日 23時44分21秒 | 金融市場の話題
1月のFOMC議事録要旨は、市場参加者の多くはタカ派的と受け取ったというのが、メディアが報じるところ。実際には、もともと12月より1月の声明文はタカ派的な手が加えられており、議事要旨はその背景を示しただけで、タカ派の度合いが上がったわけではないと思っている。今回の内容だけでは、3回を想定している利上げが4回になるなどとは言えないとうのが当方の解釈。結局、今後の指標次第というイエレン前議長の方針を踏襲ということだろう。

それにしても、先週末以降、反発局面に入っていたドルだったが、早くも失速という状況にある。22日も、そして本日も米長期金利は低下となっているものの、22日は2.922%で終了し2.9%超を維持し、本日も低下気味ではあるものの2.9%近辺での取引となっている米金利の上昇は理論的にはドルのサポート要因ではあるものの、ドルは反落となり、依然として関係は断たれた状態にある。先日の予算教書でも示されたが、たとえば昨年10月に始まっている2018会計年度の赤字は、前年比で80%増加の約9000億ドル、19年度について1兆ドル弱と予想されている。

実際に、米財務省が発表した2月以降3ヵ月の国債発行スケジュールでは、3ヵ月で420億ドルの増加となっており、財政赤字拡大見通しと整合性のある数字となった。結局、米国財政の急激な悪化に対する懸念やトランプ政権が掲げる「米国第一主義」に基づく保護貿易に対する懸念が、ドルに影を落とす展開が続きそうだ。米国の景気循環にて拡大期が終盤に差し掛かっている折に、エンジンを吹かしストレッチ(伸び切った)状態にしようとしているわけで、先に行って陰りが出てきたタイミングでどんな手が打てるのかという話にもつながるもの。

経常収支が赤字の国で、財政赤字の拡大ピッチが上がる中で、ホワイトハウス主導で実質的なドル安政策を唱えるなどということになると、自殺行為ということになる。ベクトルはそっちを向いているわけで、少しくらい長期金利が上がってもドル高につながらないということに。


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