亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

実際に1月に米国債を売っていた中国

2018年03月16日 23時44分09秒 | トピック

年始1月11日のここに「米国債をめぐる不都合な真実」と題して書いた。その際に、定期的に外貨準備の運用方針を見直している中国当局者の話としてブルームバーグが流した、「中国人民銀行に対し財務省証券(米国債)の購入減額ないし停止を勧告」というニュースを紹介し、その理由としては、「米国債が他の資産と比較で魅力が低くなったことのほか、米国との貿易摩擦が購入を減額したり停止したりする理由に挙げたというものを引用した。

定期的に外貨準備の運用方針を見直している中国当局者とは、一般的に国家外為管理局(SAFE)の担当者ということだろうと書いた。その日の文章を直接引用すると「米国債の買いに関して米国との貿易摩擦も判断材料として挙げていることから、多分に政治色の強い発言といえるもの。対中貿易赤字の大きさからトランプ政権がこの先中国にプレッシャーを強める可能性があるが、その際の対抗措置を示したという側面がある。国債の売り、金利急騰も立派なタタカイの武器になるというわけだ。」とした。そして、既に米国債の買い手としてのFRBの姿はなく、実質的に売りに回っていると書いた。

あれから早くも2ヵ月が過ぎ、昨日3月15日に米財務省が、海外投資家による米国債の保有残高のデータを公開した。

それによると、海外投資家の保有額は1月に245億ドル(約2兆6000億円)の減少となっていた。
海外の中央銀行や公的年金を意味する「Official」の保有は282億ドルの減少となっていることから、海外民間の保有は増えたものの、それ以上に中銀関係などが売ったことを表している。中でも中国の保有減少額が167億ドルで全体の68%と突出しているのが目立った。

実は、くだんのニュースが流れた翌日に、中国はやや大げさに報じられたと火消しに回ったのだが、今回のデータでは、現実に大きく減らしていたことが判明した。

足元でトランプ政権は貿易面で対中プレッシャーを強めているが、先行して中国は米国債の売りを手掛けていたことになる。米国債の下げ=金利の上昇となるが、2月初めの米国株の急落のきっかけは、米10年国債が売られ長期金利が急騰したことが端緒になっただけに興味深いデータとなった。貿易戦争はとうに始まっている。

一昨日(14日)のここに「今回のティラーソン解任劇から見えてくるのは、(辞任しその後モラー特別検察官により訴追されたフリン前安全保障担当補佐官の後任の)マクマスター補佐官の辞任あるいは解任ではないか」と書いたが、さっそく、本日の日本時間の午前に、ワシントン・ポストが、そのような内容を報じていた。おいおいおい、もう、かい。当方としては、「早すぎる」印象。

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