亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ヘッドラインほどにはハト派的ではなかったFOMC(内在するトランプリスク)

2018年03月22日 23時46分14秒 | 金市場
注目の連邦公開市場員会(FOMC)は、市場が関心を寄せていた年内の利上げ回数という面では利上げ見通しは年内あと2回、合計3回の利上げを予想となった。つまり、金市場が恐れる利上げ加速見通しは見られなかった。ただし、“表面的には”との但し書きがつく。

というのも、経済成長率の上方修正、失業率の低下見通しの改善、インフレ率の上向き見通しなどを背景に、従来、2回を予想していた2019年の利上げ回数が3回に、2020年を1回から2回に引上げられたこと。さらに、会合参加者による予想の集計からは、僅差で今年の利上げ回数が3回に据え置きとなったことが明らかで、内容としては強気見通しをかなり抑制して表現した印象が強いことによる。パウエル議長の記者会見の内容も、目先のインフレ加速リスクを否定するなど総じてハト派的なものだった。しかし、経済予想や声明文のスタンスはタカ派的なものといえた。

思うに、今回の内容は(株式など)市場が金利上昇リスクに敏感になっていることへの配慮が働いたのではないだろうか。この内容を受けて金は時間外で1336.90ドルまで買われたが、株式市場はNYダウ44ドル安など主要3指数ともにマイナスで取引を終了した。4回に利上げ回数が引き上がっていたとするなら、金は売られたと思われるが、株式市場の下げ幅はさらに大きくなっていたと思われる。

21日のNY金は、FOMCの結果発表前に水準を切り上げながら進行したが、FOMCと同様に保護貿易主義の傾向を強めるトランプ政権に対し、中国などが反発を強めていることへの警戒を映したものといえた。実際にアルゼンチンで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議に際し、ムニューシン米財務長官は、米国が関税を賦課すると他国が報復するリスクは常にあるとしながら「米国は貿易戦争を恐れていない」と明言し、株式市場を中心に警戒感が高まっている。

そもそも米国の自国第一主義的な政策は、中間選挙をにらんだものであるのは明らかだが、今後も国民の関心を引きそうなものは、外との軋轢が増すことを厭わず、どんどん導入されるだろう。そして株式市場は、いつまでも無関心を装ってはいられないと思う。そうした市場内の空気が、金価格をサポートしている。

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