亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

節目のFOMCになるのか否か

2018年06月13日 22時39分50秒 | 金融市場の話題
米朝会談の内容に金融から商品まで広く市場全般に反応が見られなかったのは、当座の世界経済や金融市場への影響力のある結果ではなかったことによる。それにしても、合意文書への署名というサプライズな演出が見られたが、国務長官(ポンペオ)や安全保障担当補佐官(ボルトン)に据えた腹心が、ボス(トランプ)の意向を汲む形で書いたシナリオに沿ったものだったのだろう。まさにショーは、進行時間までシナリオ通りに進んだと見られる。会合の具体的な中身のなさを、なんとか「成果」に仕立て上げるかたちで。

本日はさっそく朝鮮中央通信が、「非核化に向けた段階的なアプローチが認められた」という内容を伝えたとされるが、「金正恩委員長は帰国して直ぐに非核化に着手する」との大統領の見立てとは、すでにかい離が起きているようだ。拙速の弊害がすでに表れ始めている。

米国側の交渉の「切り札」とも言われていた「北朝鮮の体制維持の保障」を早々に切ってしまい、また「米韓軍事演習の中止」も約束したが、それ以外は現状維持であり、後のことは腹心らによる“depend  on現場の交渉”(交渉次第) というのが合意事項の骨子。話し合いの過程で、受け止め方の違いが表面化することも多かろう。それにしても国務長官がこの問題ばかりにかかわってはいられないわけで、米国側は新たな交渉体制を整える必要がある。しかし、人材不足がトランプ政権の特徴ゆえに、どうなるのか。

さて、今夜はFOMC。0.25%の政策金利(FFレート)の引き上げは織り込み済みで、そうなれば1.75~2.00%となり2008年10月以来となる2%台に乗せとなる。2015年12月に利上げに転じて2年半でやっと2%に達することに。前回の利上げ局面(2004年6月~2006年6月)では2年で1.00%から5.25%まで引き上げられており、現状は非常に緩やかな利上げ局面といえる。これは以前と比べ景気拡大期にもかかわらず成長にスピード感が伴わず、賃金および物価の上昇が鈍い状況に対応したものといえる。グローバル化やネット社会化などで経済に構造変化が起き、従来のようなタカ派的対応では景気の腰折れにつながることへの警戒感は強い。以前のような金利水準は要らないという判断が、示されるのか否か。示されるなら、どのような程度で示されるのか。政策の方向性を指し示すフォワードガイダンスの見直し論議もあり、利上げ回数の増加うんぬんとは別に、節目のFOMCになる可能性を感じている。



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