亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

振り子が振り切れるタイミング

2018年07月18日 23時38分08秒 | 金市場
米ロ首脳会談。「会って話せばわかる」と、まずは直に対面することに意義を見出している米国大統領。一方、自らの評判がもっとも悪い欧州にて、しかもNATO首脳会談の場で“米欧の溝深めた”と物議を醸した翌週早々のタイミングでの会談は、ロシアの大統領のとっては美味しい話。

先週末には米司法省が、2016年の大統領選にからんでロシア軍当局者12人を訴追。このタイミングで何ということをやってくれる!!と、むしろ米国大統領は怒り心頭ということだったろう。そもそも捜査当局を敵に回していると見られるが、中間選挙が近づく9月や10月にも特別検察官による更なる捜査進展の動きが、表面化するものと思われる。今回の米ロ会談にしても、(欧州を中心に)国際的にはロシアを追い詰めることを期待しながらも、ここまでの経緯から、おそらく無理だろうと・・・。その危惧は当たり、2016年の大統領選への介入は(当然ながら)否定するロシア大統領に、同調するような結末に。さすがに米国内は非難ごうごう。本人は、あっさり発言を撤回、ロシアの選挙介入を認める手のひら返し。またまた米国大統領の発言の軽さを露呈。

歴代の政権が(結果的に)長年かけて培ってきた、目に見えない“国益”を喰い潰しながら、ひたすらに“米国第一主義”を前面に出しながら、果たしてその実態は“自己満足”と“保身”をひたすら突き進んでいる。そうした現実にさえ、気付いていないのかもしれない。意見をする側近は、いなくなっている。そういえば、米朝首脳会談後には、「いつでも電話できる間柄になった」と言っていたと思うが、それがどの程度のものか、その内わかるだろう。

さてさて金市場は、米経済指標の内容の良さに米利上げ見通しが高まり、ドルの堅調展開が続き、金市場ではファンドと見られる(テクニカルな)売りが加速した。直近の安値がサポートとならず、下回ることで(プログラムされた)次の売りがヒット(稼働)し、下げを深める悪循環に陥っている。主要な需要国であるインドおよび中国では、通貨ルピー、人民元ともに対ドルで値下りしている結果、国内価格は高止まりしており、現物の押し目買いが後退していると見られる。その中で、金ETF(上場投信)には、今月に入って以降断続的に欧米勢と見られる換金売りが出ており、需給が緩んだ状態で、先物市場主導の下げが再び勢いを増している。

振り子が振り切れるタイミングが近づいているように見えるが、この1ヵ月ほどの、どこかで起きそうだ。



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