亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

米国債を売って金を買い増しているロシア中銀

2018年07月20日 23時18分14秒 | 金市場
このところ中国人民元のレートの下げが目立っている。19日にも対ドルレートが下落、一時1年ぶりの安値(1ドル=6.77元)となった。海外投資家が自由に売買できるオフショア市場では一足先に6.8元台に売り込まれる展開に。資金が中国国外に移動する資本逃避という事態には至っていないと見られるものの、やや警戒モード。その後、トランプ大統領が人民元のこのところの下落に言及、「石のように落ちている」と牽制した。その前には、伝えられているようにFRBによる継続的な利上げにも、不快の意向を示すことに。こんなに頑張っているのに、追加利上げで相殺されていると言わんばかりの話しっぷり。もともと早晩、こうした発言はあるだろうと、みな思っていたと思われ、したがって反応は限定的なものだった。

それよりも、ここにきて減速モードの中国経済だけに、貿易戦争の影響から景気がさらに鈍化するのではとの懸念が市場を覆っているようだ。それが、メタル全般に対する売りとして表れている。NYの銅先物は19日2%安となり、6月初めの高値からここまで18%の下落に。7月3日の下げに際してかろうじて800ドルを維持したプラチナは、794.50ドルまで売られ2008年12月以来の安値に。パラジウムも866.20ドルと1年ぶりの安値まで売られることに。

今夜は、トランプ発言もありドル安が進んでいることから、メタル全般は反発している。

ところで一昨日はロシアが4月以降、米国債の保有高を大幅に減らしていることが判明。3月末に約1000億ドルの持ち分が、5月末には約146億ドルと激減していることがわかった。金市場では、ロシアが米国債を売って金を買い増しているとの話があったのだが、確かに国債は大きく売り越しとなっていた。そこでロシア中銀の金の持ち分を調べると、4月に19トン、5月に18.4トン、計37.4トン増えていることが判明。ただし、ロシア中銀の場合、今年に入って以降も毎月金を買い増しており、5月末までの累計で89.4トンにもなる。したがって、4、5月の増加分が必ずしも突出しているわけではない。ナビウリナ総裁(女性)が、外貨準備を多角化するために金を買い増していると述べたと、本日の日経朝刊が取り上げていたが、ロシア中銀は10年以上前から計画的に増やしてきている。



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