亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

“夜明け前が一番暗い”のか、“悲観の中で生まれる相場”なのか

2018年08月14日 22時33分03秒 | 金市場
ドル指数(DXY)が96ポイント台でさらに上値追いの様相の中、スポットのみならず現在NYコメックスのアクティブ・マンス(中心限月)となっているゴールドDecember2018(12月物)も13日は1200ドル割れとなった。ほぼ安値引け状態で、引け味もよくなかった。取引時間中(つまり、ザラバ)および終値ベースの双方で1200ドルを割れたのは、2017年1月30日以来、1年7ヵ月ぶりのこと。この金の下げに連れ安状態の形で、他の貴金属も軒並み大幅下落となった。

6月中旬以降の金価格の下げは、(繰り返しになるが)NYの先物市場主導型のもので、端的にはファンドの空売り(売り建て、ショート)が背景にある。過去最大に膨れ上がったファンドの売り建てだが、週明け13日の急落も同様に機械的に出されたショートによるものと見られ、その規模はさらに拡大したと見られる。おそらく先行して組まれたショートは、利益が出ている状態になっており、売り買い交錯の中で益出しをしながら、さらに売り建てるという状況が推測される。いわゆる“回転が利いた”状態にあり、それゆえ売りの勢いも衰えずといったところか。
ショートの規模見る分には、“夜明け前が一番暗い”とか、“悲観の中で生まれる相場”などの相場格言が浮かぶ。ダラダラ下げる相場につき、あく抜け感が出難いのが難点。

13日は、トルコ・リラ下落の派生バージョンで南ア・ランドが一時10%強の急落に見舞われたほか、インドルピーは最安値を更新するなど、貴金属市場を見る上での注目通貨も軒並み売られることになった。経済規模や外貨準備から見て、債務の多い国が狙い撃ちされているような状況にある。ただし、総じて通貨危機の広がりに至らないというのが、市場参加者のコンセンサス。そうでなければ、いかにプログラムとはいえ、ここまで金売り(ショート)が膨らむことはないと思われる。

いずれにしても、ドルがどこまで走るのかということだが、来週22日のFOMC議事録、さらに23~25日のジャクソンホールでのパウエル、ドラギ発言に市場の関心が集まりそうだ。


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