亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

米市場金利の上昇には強かった金だが・・・

2018年10月09日 23時02分41秒 | 金市場
先週まで長期金利など米国の市場金利全般の上昇の中で、目立った売りも出ずに推移していた金市場だが、週明けの市場で米中間の関係悪化を伝えるニュースに、急落状態となった。

国慶節の連休明けとなった8日の上海総合株指数は、3.7%の大幅安に。この日は、ポンペオ米国務長官が北京で中国の王毅外相と会談したものの、「根本的な意見の相違」があると表明、警戒感が高まった。中国人民元はドルに対して約2ヵ月ぶりの大きな下げとなったこともあり、再び中国への警戒感が市場で高まることになった。この会談前に王毅外相は、貿易摩擦を高め台湾問題や内政に干渉しているのは米国だと非難し、「こうした行動は相互信頼を傷つけ、中国と米国の関係に影を落としている」としていた。結局、ポンペオ国務長官も、売り言葉に買い言葉様の反応となり、そもそも北朝鮮問題を巡り協力要請が本旨となっていた訪中が、対立の溝を深めて終了することになったようだ。

人民元の急落と受け、リスクオフ・センチメントの広がりの中での株安連鎖は、一般的には金のサポート要因となるもの。しかし、産業用を中心にメタル全般の需要大国である中国が、米中貿易戦争や景気減速懸念など懸念の当事者となっていることが、逃避資産としての金の位置付けを低下させ、もっぱらドルの強弱に沿った反応に集約される相場展開をもたらしている。言うまでもなく中国は世界最大の金需要国であることから、市場関係者が中国の波乱が金現物需要の抑制要因となることを懸念することによる。

折しもイタリア財政を巡る懸念から、ユーロが弱含みに推移していることが、金売りの地合いにつながっている。

週明け8日の市場でも、ユーロドルはNYの午前に1.1460ドルと7週間ぶりの安値に売り込まれることになり、このタイミングで金市場では売りが膨らみ1186.00ドルの安値を記録した。ユーロ売りは、予算案を巡るイタリア政府と欧州連合(EU)の対立の再燃が材料となっている。予算案に対し欧州委員会から批判の声は止まず、イタリアのサルビーニ首相(右翼政党「同盟」の党首)が、ユンケル欧州委員長とモスコビシ欧州委員(経済・財務・税制担当)を欧州の敵と批判。イタリア国債は売られ、このところの安値を更新、利回りは引け値で3.566%に上昇。ドイツ10年債との利回り格差はついに3%(300ベーシスポイント)以上に拡大している。

そして本日9日のNYの午前早くには、さらに3.636%へと上昇。イタリア財政への懸念という独自材料に加え、年末にはECB(欧州中銀)が量的緩和策の終了を予定し、今月から資産買い取り額を前月までの半額に減らしていることも無関係ではないと思われる。


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