亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「潜在的なリスク」で済まない可能性のBrexit(ブリグジット)」

2018年10月17日 22時20分43秒 | 金市場
足元の市場全般を見渡して気になるのが、欧州政治リスクの高まり。本日17日から始まった欧州連合(EU)首脳会議は、言うまでもなくメインテーマは英国のEU離脱問題すなわちBrexit(ブリグジット)。英国のメイ首相の演説が予定されおり、すでに始まっている時間帯。ここまでの英国とEU間の実務レベルの話し合いでは、英国全体を「当面」EU関税同盟に残す内容で取りまとめられたとされる。しかし、この案にメイ首相が待ったを掛けたと伝えられたのが今週に入ってからのこと(英紙デイリー・テレグラフ)。つまり、土壇場でも方針が固まっていない。閣僚らの支持を得られない可能性を危惧したとされるが、もともと与党保守党内の意見の集約がされておらず、交渉を前に英国の方針が未だ迷走状態にある。

足元で与党保守党内の強硬離脱派がメイ首相の不信任投票実施を探っているとの話もあったほどで、そんな状態でEU首脳会議を開いて何を決められるのだろうか・・・ということは、端から決められないということで、まずは英国側の主張を正式に聞く場ということか。

英国側の要求は早い話が、移民の受け入れは嫌だが関税同盟には一定の範囲で(できればこれまで通り)残りたいという、いいとこ取りのもので、そんな要求をEU側が認められないのは、言うまでもない。今回の会議で合意にメドがつけば、11月に臨時首脳会議を開き最終合意を図る方針となっているが、難しそうだ。合意がなれば、サプライズということになる。離脱に当たってアイルランドと北アイルランド(英国)の国境問題も折り合っておらず、欧州に混乱をもたらすと懸念される「合意無き離脱(ハード・ブリグジット)」の可能性も考慮すべきとの見方が市場に広がっている。実際に15日は、トゥスクEU大統領も、その可能性が「これまでになく高まっている」と発言している。

もともとEU内に居られるのは来年の3月いっぱいまでで、それ以降は混乱を避けるために2020年12月末まで移行期間が設けられている。しかし、この移行期間も合意があってのことで、なければそれもなくなる。文字通りハードな展開が待っているわけだ。ハード・ブリグジットになった場合の混乱の度合いや影響の範囲など不透明要因が多く、それゆえイメージしにくいため、「潜在的なリスク」の範ちゅうに入るのだが、激震が走る可能性も否定できない。金市場のサポート要因でもある。

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