亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金、なぜ20ドルも下げた?単なるファンドの仕掛け

2019年04月12日 20時55分20秒 | 金市場
3月28日の21.6ドル安に次ぐ前日比20.60ドル安で、再び1300ドル割れとなったNY金。4日続伸の上げ幅を簡単に失った。発表された失業保険の新規申請件数や3月のPPI(生産者物価指数)は確かに内容は良かった、特に前者は。良かったのは事実だが、この程度の話は珍しいことではない。また、英国のEU離脱の事務的な期限日だった4月12日が、EU側が10月末まで期限の延長を受け入れ、目先の危機は回避されたことが金の売り材料といわれても、そうですか・・・という感じだ。こうした展開は、想定されていたもの。後付けで材料として語られたに過ぎないだろう。下げの背景は市場の内部要因主導と思われる。全般的に模様眺めの市場で、テクニカル要因から心理的な節目となっている1300ドル割れを狙ったファンドの売り攻勢が奏功し、さらなる売りを呼び込んだものと思われた。

いずれにしても、これで再びNY金はこのところのレンジ(1280~1320ドル)の前半部分に押し戻されることになった。レンジの下限に接近したところで買い、上限で売るトレードが一定の成果を上げるにつれ定着しつつあるのも、AIロボット・トレード(プログラム売買)が主流を占める足元の市場を象徴する動きというべきか。このあたりは4月8日のここでもにた内容を書いた。以前にもましてファンダメンタルズ(現物需給)とは離れた動きが増えている。そもそもそうした要素があるのが、カネの顔を持つ金ならではということだが。しかし、こうしたレンジ・トレードもやがて上方あるいは下方に破られるタイミングがやってくるのが市場の流れではある。

金については、日本時間の明朝発表のCFTCのデータが、どうなっているか。おそらく寄せては引く波のようなロングとショートの増減でしょうが・・・。

ところで、11日発表された(前週1週間の)新規失業保険申請件数は、前週比8000件減の19万6000件となり1969年10月以来、約49年ぶりの低水準となった。市場予想は21万1000件となっていた。4週連続の減少となる。動向をより正確に反映するとされる4週間の移動平均は7000件減の20万7000件と、こちらも1969年12月以来の低水準となる。堅調な雇用の推移は景気の底堅さを表すもの。失業保険の申請件数は景気拡大の終盤には増加するとされており、今年の7月には拡大期が11年目に入り、過去の記録を塗り替えるところまできている米景気ゆえに、注目する人も増えているのだが、更新は間違いなかろうという展開。
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