亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金年初来高値更新、金を押し上げる利下げ観測の高まり

2019年06月14日 19時57分49秒 | 金市場
昨日のラジオ日経の番組「マーケット・トレンド」が始まる直前に伝わったホルムズ海峡近くのオマーン湾でタンカー2隻が攻撃を受けたとのニュース。さすがに原油は上がったものの、金の値動きは限定的なものだった。それはボルトン米大統領補佐官(安全保障担当)が「イランの機雷が使われたのはほぼ間違いないと」と発言しても同じだった。ただし、WTI原油はこのタイミングで53.45ドルとこの日の高値を付けたが、前日に4%の急落状態になっていたことを考えると2%の上昇(反発)は見劣りした。

NY時間の午後に入り、今度はポンペオ米国務長官が、使用された武器や攻撃に必要な手腕などを踏まえるとイランが背後にいるとしたが、原油の反応は鈍かった。そして結局、WTI原油は午前早々の上昇分を削って1.14ドル高の52.28ドルで終了となった。13日は石油輸出国機構(OPEC)が月報を公表し、今年の世界の石油需要の見通しを下方修正したことも原油価格の上値を抑えたとみられる。

一方でNY金はNY時間に入り逆に時間の経過とともに水準を切り上げた。それは中東情勢ではなく、発表された物価関連の指標が弱かったことによる。具体的には労働省が発表した5月の輸入物価指数が前月比0.3%低下し、2018年12月以来の大幅な落ち込みとなったこと。さらに今週は、先行して発表された11日の生産者物価指数(PPI)、前日12日の消費者物価指数(CPI)といずれも低調な結果となったことで、5月のFOMCにてパウエル議長が「物価の鈍さは一時的な要因による」としていたことに疑いが出ていることによる。つまり、利下げ観測が高まることになった。すでに市場では早ければ7月のFOMCでの利下げ見通しが織り込まれつつある。

もっとも来週の18-19日のFOMCについては、経済指標よりも「米中動向」を占う上でポイントになる大阪でのG20サミットを控えていることから、市場では今回の会合での利下げの実施を読む向きは少ない。仮にFRBが意表をついて予防的な利下げに踏み切ればビッグ・サプライズということになる。金は舞い上がることになる。いずれにしても利下げが視野に入っていることが、中東情勢を離れて金を押し上げた。

本日のアジア時間に金が騰勢を強めたのは、発表された中国の5月の鉱工業生産指数が17年ぶりの低い伸びになったことも、世界景気の先行きに警戒感を持たせ、結局、利下げをイメージさせることによる。

さて本日は米5月の小売売上高の内容がどうなるか・・・。

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