亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

米中の応酬を横目に待機状態の投資マネー

2019年11月25日 23時26分13秒 | 国際情勢
トランプ大統領の署名待ちとなっている香港人権・民主主義法案。中国側が反発していることから、通商交渉への影響を恐れ大統領による承認署名が当初メディアで報じられたようにはスンナリとは進まず、未だペンディング状態にある。22日には中国の習近平主席が北京で開かれていた経済フォーラムでの記者会見にて「相互尊重と平等の原則に基づき、米国と『第1段階』の通商合意をまとめたい」と発言。一方で「必要なら反撃するが、貿易戦争を起こさないよう積極的に取り組んでいる。中国が貿易戦争を始めたのではなく、これはわれわれが望むものではない」とした。

時系列ではこの習主席発言の後になるが、トランプ米大統領は同じ日、米中合意が「非常に近い可能性がある」と表明。ただ最終的な取りまとめを望むかどうかはまだ判断していないとした。過去何度も同じような発言が繰り返され、形にできなかった。香港情勢にも言及し、「米国は香港を支持する必要があるが、私は習氏も支持している」とした。それが正直なところだろう。2

ここまで報じられている内容から類推するに、中国側は段階的な合意にしても対等な立場で発動済の関税の撤回を条件として求めており、対して米国側は貿易収支などすでにバランスを欠いた現状からは対等な措置には応じられないと突っぱねている状況のようだ。

中国側の関税撤廃の拡大要求に対し、米国側も、ならば知的財産権や国営企業への補助金など懸案の構造要因の是正に対し踏み込んだ対応をすることを求めているとみられる。当初の中国による米農産品の大量買いなどを前面に押し出したシンプルな「部分合意」は、結局、双方のコアな要求がぶつかり交渉は暗礁に乗り上げている印象。米国サイドも反中国という点で党派を超えてまとまりのある議会と、来年の選挙を睨み誇示できる「合意(成果)」を求めるホワイトハウスの間で温度差があるのは明らかで、サンクスギビング前の今週前半に「香港法案」を巡り何らかの動きが見られそうだ。あるいは来週初めくらいのタイミングか。。

金市場の内部要因では、金ETFの残高には大きな変化は見られず、先物市場でのファンドのポジション(持ち高)も1カ月半にわたり売り買いのバランスに大きな変化は見られていない。すなわち投資マネーは待機の状況にあり、現状の膠着した値動きに投影されている。

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