亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

自動車業界の構造変化

2019年11月27日 23時16分06秒 | トピック
今朝のニュースにアウディのリストラの話があった。2025年までに従業員の約1割9500人の人員を削減するというもの。足元で売れ筋のSUV(多目的スポーツ車)を作っていないドイツ南部の2つの主力工場の生産規模を縮小し、2020年以降EV(電気自動車)の生産を始める予定で、EV車は組み立て工程がこれまでのガソリン車やディーゼル車つまり化石燃料者に比べ組み立て工程が少ないので人員も少なくてOKとしている。生産が本格化すると、人員も増やせるということで従業員サイドも納得したとされる。

世界各国の自動車会社が自動運転や次世代のEVの開発で鎬を削っており、開発資金の負担の大きさから企業統合も起きている。ドイツ車ではダイムラーもBMWもコスト削減を主目的に人員削減を予定。先行して米GMは米国内の3工場を含む7工場を閉鎖。1万4000人の削減を進めている。フォードも1万2000人、日産は1万2500人といずれも生産部門の人員の削減を発表。基本的には自動車の売れ行きが急減速してきていることがあるが、一方で新興国需要を当て込んだ過剰設備の問題がありそうだ。

先週はプラチナの広報・調査機関ワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシル(WPIC)が2019年第3四半期のプラチナの需給統計を発表。同時に2019年通年と2020年の需給見通しを発表した。2019年は産業用や宝飾向け需要の減少をカバーするETF中心の投資需要の伸びで3年ぶりに供給不足となる見通しとした。しかし、2020年は投資需要が頭打ちとなる中で、自動車など実需の減少を予想。自動車向けが4年連続の減少で19年比3%減の89トンとした。やはり欧州でのディーゼル車シェアの低下が、触媒需要の低下を通して需要を押し下げる。石油精製やガラス製造向けは横ばい(1%減の60トン)とした。

結局、2020年はそれらをカバーする投資需要も2019年にピークアウトすることで、21トンの供給増とされた。白金(プラチナ)はもっぱらディーゼル車の排ガス浄化の触媒需要がメイン。ガソリン車はパラジウムにつき、足元の需要先は異なる。需給見通しを映す形で、プラチナは頭の重い展開の一方で、パラジウムは高値更新を続けている。しかし、両メタル共に柱になる需要先が現れねば、近い将来にやってくるEV車主流
時代には需給バランスが崩れることに。プラチナは燃料電池の電極需要が期待されてきたが、それも炭素を使った代替物質の開発が進んでいる。

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