亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

演目とともに演者も代わる金劇場

2020年02月26日 20時06分16秒 | 金市場
昨夜はここに「米国株は再び復元力の強さを見せそうなので」と書いたが、それは高寄り(窓開け)して始まって1時間ほどのことだった。報じられているように米疾病対策センター(CDC)の予防接種・呼吸器疾患のヘッドが記者会見で、他国での感染拡大のデータから、米国でも地域感染が発生するのは確実だと話したことが伝わるや、「復元力」でなく前日同様の急落モメンタムがにわかに復活することになった。NYダウも1日で1000ドルも叩かれると自律反発的な戻りは見せるだろうと思っていた。たとえ賞味期限は短くても。。。

結局米国株は、これも報じられているように主要3指数ともに同じような展開を経て、同じような下げ率となった。売りのすそ野を広げながら下げ幅を拡大し、分野を問わず全面安状態となったのはやはりな・・・・・・ということだった。

というのも、この数年、株式市場への機関投資家の資金流入がETFを介在するものが増えていたので、それが膨れ上がった今や、大きく下げる時は、ETFからもカネが抜け全面的に売られることになるのではと思っていた。売りが出る予見を基に受け手は先物の売り持ちを満遍なく増やすだろうし。

2日連続の大幅下げにより。NYダウとS&P500は4日続落となり、その下げ率は2018年12月以来だとロイターが報じていた。なるほど2018年12月というと、クリスマスイブで半日立ち合いとなった24日は、3指数そろって安値引け(あるいはそれに近かった)のではなかったかと。結局、あの時の下げでパウエル議長は肝を冷やし、あわてて年始の “利上げは当面見送りマス”会見につながったのではなかったか。つまりFRBをして政策転換をなさしめた下げだった。それに匹敵する下げ率ならば、これは騒ぐわけだわい、と。

しかし、ここでひとつ言っておきたいのは、NYダウの(25日まで)2日間の下げは1911ドルとなるが、それでも2月12日に記録した終値ベースでの最高値から8.4%の下落にとどまっているということ。ナスダックとS&P500種も2月19日の最高値からそれぞれ8.7%、7.6%の下落となる。相場の世界では、直近の最高値から10%を下回ると「調整局面入り」、20%を下回ると「弱気相場入り」とされる。異例の株高に気が付けば水準も大きく切り上がっており、値幅だけ見ると歴史的な下げに映るが、実態は未だ(25日時点で)調整局面入りすらしていないことになる。NYダウがここから4000ドルほど下げると、やっと弱気相場入りとなる。値位置が切り上がっているだけに、急落相場はこれまで以上にセンチメントに影響を与えるということか。

NY金の方は、昨日も本日もアジア時間に1630ドル台に入ると買われており、その下1600ドルを試そうという腰の据わった動きでもなさそうだ。イメージとしては、モメンタム系のCTAが買い煽った相場が、当事者自体がGOLDだけに自重(ロングの多さ)に耐えかねて(笑)投げだしたところを、別の理屈にのっとったファンドが拾っている“手替わり”が起きているということ。幕間劇ともいうべきレンジを経て、演目とともに演者も代わる金劇場。。捨てる神あれば拾う神ありで、静かにETFは増加中なのでした。さて次なる演目は何か。

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