亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

激増の米失業保険申請件数にロボットも反応できず

2020年04月03日 19時42分48秒 | 金市場
週間ベースの米失業保険新規申請件数。3月28日に終了した1週間の新規申請件数は(上方修正された)前週の330万7000件から倍増となる664万8000件と2週連続で過去最高を更新した。悪化していることは織り込み済みとみられたが、それでも市場予想は350万件だった。発表された結果を見てしまえば、「予想は350万件にすぎなかった」ということになるが、2週間前は前週比7万1000件増となり、いよいよ本格的な失業者の増加が始まると市場は身構えたものの28万2000件にすぎなかった。誰も2週間後に、600万件以上に激増することまではそうていしていなかっただろう。

この結果に対し金市場は割と反応がよく、買いが先行する流れに転じ40ドル強水準を切り上げ1637.70ドルと1650ドルに接近して終了となった。株式市場の方は、600万件を超える申請件数は売り材料ではあるものの、NYダウの469ドル高など主要指数はそろって2%前後の上昇となった。「米経済の大部分が停止しつつあることは誰もが知っているため、失業保険申請件数が上振れすることはある程度想定されていた」(ロイター)とされる。確かにそういうことだろうが、わずか2週間ほどでこれだけの増加は過去のどのモデルにもなかったことから、コンピュータープログラムにはなく、それゆえAIロボットも反応できなかったというのはうがち過ぎか。その上で株式市場は意外高となった原油相場にエネルギー株が反応し上昇となった。

2日は、トランプ大統領が3日に予定されている米石油各社トップとの会談を前にサウジアラビアで実権を握るムハンマド皇太子と電話会談したと伝えられた。終了後に同大統領は、「サウジとロシアは(日量)約1000万バレルを削減すると私は予測、期待している」とツイート。
原油は元より政治的色彩の強い商品であり、今回もサウジとロシアの確執から下落が始まり、そこに両者の米シェール潰しの思惑も加わり、何ゆえこのタイミングで人為的な急落を作るのか・・・という展開になっていた。この日は、サウジがOPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」の緊急開催を要請したとの話も伝わり、25%もの急騰となったが、米国大統領のツイートを手掛かりにしたものならば、梯子を外されることになるまいか。

なお本日は、3月の米雇用統計の発表が予定されている。3月前半までの集計となり、規制が本格化した20日以降の大幅な雇用削減の影響は含まれないことから、市場予想は失業率が3.5%から3.8%への上昇、非農業部門雇用者数は前月比で10万人の減少となっている。結果を見たうえで、もう一度更新しようと思う。
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