週明け４月６日のＮＹ金は２０１５年１２月の底打ち後の戻り高値の更新となった。新型コロナ問題で、ＮＹコメックスもＮＹＳＥと同じくフロア取引に人はおらず電子取引１本の展開。６日はアジアからロンドンそしてＮＹを通して、時間の経過とともに水準を静かに切り上げた。通常取引終値（清算値）は、前日比４８．２０ドル高の１６９３．９０ドル。その後の時間外取引でも上昇が続き１７００ドルを突破し、高値は１７１５．８０ドルまで見ることになった。終値ベースで、２月２４日の１６７６．６０ドルの高値を超え、取引時間中の直近の高値１７０４．３０ドル（３月９日）を上抜き、年初来高値を更新。終値ベースでは２０１２年１２月１７日以来７年４カ月ぶりの高値となる。昨年夏以降、折に触れ２０２０年のレンジの中心に１７００ドルを据え、年央以降に上下１００ドルの展開をセミナーや原稿などで示してきた。幸いにも１７００ドルに乗せてきた。
もちろん新型コロナ騒動など想定外だが、株式市場では自社株買いが転機を迎え、ＦＲＢが株安の中で追い込まれ非伝統的政策（ＱＥ）を復活せざるを得なくなる。秋の大統領選に向けトランプ政権は高圧的な外交政策を続け、引き続き米中間の摩擦は続くという読みだった。大統領選自体も、２０００年に見られたように僅差で開票結果を巡り双方が提訴まであり得る可能性を想定していた。
ちなみに、昨年１２月３日に受けた時事通信社のインタビュー記事（先方作成）があるので参考までに。その際の金価格は、ＮＹ １４６９．２０ドル、国内 ５１３４円だった。
以下、２０１９年１２月初旬 時事通信社配信の記事
◎〔２０年間見通し〕ＮＹ金、米株価修正に伴う景気懸念など背景に上昇＝亀井氏
２０１９年のニューヨーク金先物相場は、連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）が金融緩和に転じたことから大幅上昇した。金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏は２０年について、「高水準の米株価が修正局面を迎えることで景気への懸念が高まり、ＦＲＢの金融政策にも影響する」と予想。そうした状況下でＮＹ金は堅調に推移し、「年初の想定（１オンス＝）１５００ドル前後から１７００ドルまで水準を切り上げ、状況次第では１８００ドルが視野に入る可能性もある」とみている。
―注目材料は。
まずはＦＲＢの金融政策を注視したい。１９年は予防的な利下げを３回にわたり実施した。政策金利の水準が過去の利下げ局面に比べて低く、景気が悪化してからの対応では後手に回る恐れがあることが背景にある。
ＦＲＢは１２月の米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）で、政策金利の据え置きを決めた。当面は現在の金利水準を維持する姿勢を示唆している。ただ、経済の先行き不透明感は払拭（ふっしょく）されておらず、追加利下げを余儀なくされることは十分にあり得る。
―景気のリスクをどうみるか。
１９年の利下げは、景気拡大期の政策金利の連続引き下げであり、株式市場にとって押し上げ要因。実際、米株価の上昇につながっている。高水準の株価が修正局面を迎えれば、景気への懸念が高まり、ＦＲＢの金融政策にも影響する。株式市場が混乱すれば、大きな波乱要因になる。
景気拡大の終わりを見極める上で、雇用の増加ペースに注目している。雇用の伸びが鈍化すると、失業率の上昇率につながり、景気を下支えている個人消費に悪影響を及ぼすためだ。
―２０年の取引レンジについて。
年初の想定１５００ドル前後から１７００ドルまで水準を切り上げ、状況次第では１８００ドルが視野に入る可能性もある。一方、米中両政府による既存の関税撤廃が拡大した場合、ＮＹ金は伸び悩みにとどまらず、水準を切り下げることもあり得る。いずれにせよ、２０年はボラティリティー（変動率）が大きくなりそうだ。
―他の材料は。
米中をめぐる問題はくすぶる。両国の争いは経済分野にとどまらず、軍事覇権も含むので、それ自体が地政学リスクと言える。
共和党のトランプ氏が再選を目指す２０年の米大統領選挙は、民主党の候補がだれになっても大接戦になりそうだ。共和党候補のブッシュ氏が民主党候補のゴア副大統領（当時）を僅差で破った、２０００年の大統領選挙のような状況になることもあり得ると考えている。当時はその後政治環境は大きく変わり、金融環境も変わった。（了）
以上
もちろん新型コロナ騒動など想定外だが、株式市場では自社株買いが転機を迎え、ＦＲＢが株安の中で追い込まれ非伝統的政策（ＱＥ）を復活せざるを得なくなる。秋の大統領選に向けトランプ政権は高圧的な外交政策を続け、引き続き米中間の摩擦は続くという読みだった。大統領選自体も、２０００年に見られたように僅差で開票結果を巡り双方が提訴まであり得る可能性を想定していた。
ちなみに、昨年１２月３日に受けた時事通信社のインタビュー記事（先方作成）があるので参考までに。その際の金価格は、ＮＹ １４６９．２０ドル、国内 ５１３４円だった。
以下、２０１９年１２月初旬 時事通信社配信の記事
◎〔２０年間見通し〕ＮＹ金、米株価修正に伴う景気懸念など背景に上昇＝亀井氏
２０１９年のニューヨーク金先物相場は、連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）が金融緩和に転じたことから大幅上昇した。金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏は２０年について、「高水準の米株価が修正局面を迎えることで景気への懸念が高まり、ＦＲＢの金融政策にも影響する」と予想。そうした状況下でＮＹ金は堅調に推移し、「年初の想定（１オンス＝）１５００ドル前後から１７００ドルまで水準を切り上げ、状況次第では１８００ドルが視野に入る可能性もある」とみている。
―注目材料は。
まずはＦＲＢの金融政策を注視したい。１９年は予防的な利下げを３回にわたり実施した。政策金利の水準が過去の利下げ局面に比べて低く、景気が悪化してからの対応では後手に回る恐れがあることが背景にある。
ＦＲＢは１２月の米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）で、政策金利の据え置きを決めた。当面は現在の金利水準を維持する姿勢を示唆している。ただ、経済の先行き不透明感は払拭（ふっしょく）されておらず、追加利下げを余儀なくされることは十分にあり得る。
―景気のリスクをどうみるか。
１９年の利下げは、景気拡大期の政策金利の連続引き下げであり、株式市場にとって押し上げ要因。実際、米株価の上昇につながっている。高水準の株価が修正局面を迎えれば、景気への懸念が高まり、ＦＲＢの金融政策にも影響する。株式市場が混乱すれば、大きな波乱要因になる。
景気拡大の終わりを見極める上で、雇用の増加ペースに注目している。雇用の伸びが鈍化すると、失業率の上昇率につながり、景気を下支えている個人消費に悪影響を及ぼすためだ。
―２０年の取引レンジについて。
年初の想定１５００ドル前後から１７００ドルまで水準を切り上げ、状況次第では１８００ドルが視野に入る可能性もある。一方、米中両政府による既存の関税撤廃が拡大した場合、ＮＹ金は伸び悩みにとどまらず、水準を切り下げることもあり得る。いずれにせよ、２０年はボラティリティー（変動率）が大きくなりそうだ。
―他の材料は。
米中をめぐる問題はくすぶる。両国の争いは経済分野にとどまらず、軍事覇権も含むので、それ自体が地政学リスクと言える。
共和党のトランプ氏が再選を目指す２０年の米大統領選挙は、民主党の候補がだれになっても大接戦になりそうだ。共和党候補のブッシュ氏が民主党候補のゴア副大統領（当時）を僅差で破った、２０００年の大統領選挙のような状況になることもあり得ると考えている。当時はその後政治環境は大きく変わり、金融環境も変わった。（了）
以上
