亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

波乱か平穏にスルーか、2つのイベント 

2020年04月09日 19時26分30秒 | 金市場
さて8日の米国株は反発となった。サンダース上院議員が民主党の大統領候補戦を降りることになったことを好感。また引き続き新型コロナ感染ピークアウトへの期待が押し上げたとされる。今夜はにわかに注目イベントとなった週間ベースの新規失業保険申請件数の発表日。悪いことは承知で、予想値は500万件となっている。上振れが続いたので、市場にも耐性が付いてきていると思われるが、下回ることがポジティブ・サプライズとなる。過去最多となる700万件という予想もあるので、下回ることはなさそうだ。株式市場はどう反応するか。

本日の注目イベントはそれよりも、日本時間の午後11時から開かれる予定の「OPECプラス」の緊急会合となる。

4月2日に米国大統領が、「みんなにとって素晴らしいニュースだ!」とメディアで発言。さらに「サウジとロシアが日量約1000万バレルの減産に、近く合意すると予測している」とツイート。これで原油価格が急騰したのを見て、気を良くしたのか「1500万バレルかもしれん」と追加の書き込みをば。。。この数字を見たときに、日量1000万、1500万?と思い調べたら、このところ平常時の世界の原油消費量は日量で1憶バレルとのことだった。つまり、10~15%の減産規模ということになる。サウジとロシアの産油量が合わせて2000万バレル程度とみて、その半分以上の減産を両国が飲むとはとても思えず、4月3日のここに原油の急騰について「米国大統領のツイートを手掛かりにしたものならば、梯子を外されることになるまいか」と書いた。

会合はTV会議だが下交渉で揉めて一度延期され、本日となったもの。事前に報じられているところでは、サウジもロシアも米国業者が減産に加わらないと合意はできないとしていると。対して、かの大統領は米シェール業者は既に減産しているとして、言うことを聞かないなら関税をかけるぞと脅しているとされる。サウジもロシアも政府が産油量をコントロールできるが、米国は民間業者の独自判断となることから、無理強いはできない。米シェール企業は減産済といっても、実勢に合わせた結果、生産量が減っているわけで意図して減らしたわけではない。

原油市場は何らかの減産合意がなることを織り込んでいるとみられ、結果が見ものとなる。仮に合意が成らず、また油価が急落となると株は大きく下げることになりそうだ。で、サウジなどのSWF(国家ファンド)の換金売り懸念などとメディアが騒ぐことになる。合理的な判断をするならば、合意はなる。しかし政治的な思惑もからむことから、合理的判断が利かないのも現実。果たしてどうなるか。

あともう一つ、パウエルFRB議長が経済見通しを示す予定だが、注目度は上記2点に比べるとやや低い。

以上の結果に対して、金市場はもちろん反応する。今の時間はNY早朝の6時過ぎだが、金価格は1700ドル台に乗せている。
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