亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

強まる米中摩擦 上海金価格はディスカウント幅縮小

2020年05月25日 20時54分09秒 | 金市場
本日のNYはメモリアル・デー(戦没将兵追悼記念日)の祭日。先週末は米中摩擦の高まりから香港ハンセン指数が5.56%の暴落状態となり、週明けが注目されたが続落で始まった後に何とか下げ幅を回復してわずかにプラス圏で終了。

米中間については、1月に米中通商協議「第1段階合意」がなり、市場に安心感が広がり米国株式市場の過去最高値更新につながった。その当時は、合衆国大統領も新型コロナでは中国も頑張ってよくやっている・・などと語っていたので、いまではそんなことがあったのか!?という落差。その後、新型コロナ感染症が中国から欧米に拡大。トランプ政権は世界的な感染拡大の背景に、中国による情報隠蔽が欧米諸国の対応を遅らせたと非難。一方でこの間中国は、世界的な金融経済の混乱に乗じるかのように、南シナ海や台湾海峡での軍事プレゼンスを高めたり、アフリカ諸国などへの医療援助活動(いわゆるマスク外交)を活発化し外交攻勢をかけていた。

そこに加わった中国の香港への強硬スタンス。FT(フィナンシャル・タイムズ)が伝えるところでは、いま開催されている中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が法案をまとめ、香港の立法会(議会)を通さずに直接、香港基本法(憲法)に組み入れる方針だという。これは英中宣言の一国二制度を完全に無視するもので、米国以外でも旧英連邦(英国、カナダ、オーストラリア)は猛反対だろう。安全保障担当のオブライエン大統領補佐官が、「強硬な行動に出れば、米国は対応する」としているので、何らかの対応策は考慮中と思われる。

ロシアがクリミアを乗っ取ったように、中国も南沙諸島をどんどん埋め立て基地を作り、領土だと主張し、時間の経過とともに既成事実化しようとしている。香港についても形は違うが、じわじわと一線を超える行動を積み重ねながら既成事実化を図っているように見える。

新型コロナ危機下にあって両国間の緊張の高まりは、双方にメリットがないのは自明につき、米国も単に脅しているだけで本気に事を構えようとしていないとの穿った見方があるが、果たしてどうか。最近の中国側の行動に米国議会の反発も強く対中強硬論は党派を超えてまとまりを見せる数少ない論点となっている。中国は強硬突破する構えのように思われる。それは一足早く新型コロナ禍からの正常化を進めているものの、今回の全人代では20年の実質GDP成長率の目標を立てられないほど、先が見通せなくなっており、国内では失業者が増えており、不満がたまっているとみられるからだ。香港をコントロールできない状況が長期化すると、メインランドでも政府への抗議行動が起きかねないのではないだろうか。

本日はロンドン価格に対して40~50ドルまで開いていた上海金取引所の金価格のディスカウントが15~20ドル程度まで縮小していることを、書こうと思っていたが、グラフだけ乗せることに。米中間の緊張の高まりは2019年を通して金の押し上げ要因となってきた経緯がある。
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