亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

3連休明けのNY金は反落、楽観的見通しを映す米株高

2020年05月27日 11時42分25秒 | 金市場
3連休明け5月26日のNY市場の金価格は反落となった。下げ幅も比較的大きくなった。NYコメックスの通常取引は前日比29.90ドル安の1705.60ドルで終了した。欧米で広がる規制解除、ビジネス再開とワクチン開発に対する楽観的見通しが支配する中で米国株が大きく上昇。NYダウは前週末比529ドル高の24995ドルで終了。S&P500は一時3月5日以来となる節目の3000ポイントを突破、終値は2991となった。3月23日の直近下値から終値ベースで34%の上昇となる。

このところの株価の上昇については、4月9日に米連邦準備理事会(FRB)が急遽発表した、最大2兆3000億ドル(約250兆円)規模の社債買取りと融資の実行という企業金融分野に乗り出す政策が功を奏したものと思われる。通常の政策決定会合(FOMC)を開かずにFRB理事5名と財務長官の合意のみで打ち出せる特例を持ち出したもので、議会への通知義務のない緊急避難対応の政策で、したがって期限は最長1年に限られている。今回は9月までの時限的措置となっているが、延長は可能。足元の株式市場の堅調さは、急遽編成されたFRBレスキュー隊の消火活動の賜物といえそうだ。しかし、撒かれた消火剤(ドル)の規模は前代未聞で、今後の政策の舵取りが難しくなりそうだ。

市場での楽観論の広がりを象徴したのは、この日ニューヨーク証券取引所(NYSE)を訪れ、取引開始の鐘(オープニングベル)を鳴らしたクオモ・ニューヨーク州知事だった。NYSEは3月23日にフロア取引を閉鎖し、電子取引に全面的に移行していた。つまり人の出入りは禁止されていた。フロア取引(人手を介した取引)の復活は経済活動の再開を広く印象付け、市場センチメントを押し上げリスクオンに傾けさせたと思われる。リスクオンで金への資金逃避の流れが逆流し金とともに米国債も売られることになった。

こうした中で先週、中国が香港での国家治安法の制定に乗り出す意向を表明したことから一気に高まった米中関係への懸念は、先行きへの楽観論の中で後退したかに見えた。ところが、株式市場が終盤に差し掛かったタイミングで、香港問題に関しトランプ大統領が中国の当局者や企業への制裁や中国の学生と研究者に対するビザ制限を検討していると伝えられると、上げ幅を削ることになった。先週来中国当局が対ドルでの人民元の売買の基準値を、1ドル=7.1ドル台の12年3カ月ぶりの安値水準に設定するなど元安容認姿勢を強めていることも、米中摩擦につながるものとして懸念されている。

5月26日 ラジオNIKKEI マーケットトレンドPLUS
http://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/trendplus/trendplus-200526.mp3?fbclid=IwAR3JZ5yTd7WymDJi9JV-yDAgQ9h6KGb_8pJCb4lK6v0cOzqc3wY0WUjr1yM

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