亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

インドの金需要秋に先送り ペントアップ・ディマンドの話

2020年05月28日 22時54分30秒 | 金市場
新型コロナの緊急事態宣言が解除になって3日目の東京で郊外の病院でクラスター発生とのこと。本日の新たな患者数が15人とされる。クラスターであれば発生源というか地域・場所が特定できるが、第2波が心配されている北九州市は、感染経路不明者が市内に散在しているとのことで、本日は新たに21名の感染者とされる。こういう国内ニュースを見聞きすると、これは正常化は遠いと思うと同時に、欧米などとの温度差を感じてしまう。日本での警戒レベルとは次元の違う緩さの中で経済活動の再開が進んでいるのだが、ワクチン開発の期待だけで株価が高騰し、その上昇が持続するとセンチメントとしては、もう大丈夫なんだという(おそらく)誤認、錯覚に近いものが生まれているのではないかと思ってしまう。何とも妙な金融環境になってきた。

ワクチン開発進展というと、そうした見方から3連休明けの米国株式が大幅上昇が続く中で、NY金は昨日ロンドンからNYの午前には一時3週間ぶりの安値となる1684.20ドルまで安値をみた。円建て金も一時5900円を割れた。ただ、昨日はそこから終盤にかけて買い戻され、本日は、ここまでのところ、26日の下げ分を取り返すかのような展開となってる。週次ベースでの失業保険新規申請者件数は212万3000件と未だに高水準が続いている。4月の耐久財受注も前月から17.23%の大幅減少となった。悪い数字も、すべて織り込み済みで処理される。米国株式は主要指数そろって戻り高値を更新し節目を突破したことで、モメンタム系のCTAなどが調子づいて突っ走っているということか。早晩一巡するだろうから、やるだけやらせて静かに見守れば落ちてくるのだろう。

なお、発表されたスイスの通関統計で、スイスの4月の金輸出は131.8トンと3月の96.2トンから増加していた。注目されたのは2点。まず米国への輸出が111.7トンと単月で過去最高となったこと。ロンドン現物価格とNY先物価格の価格差(スプレッド)が記録的な拡大(ロンドン<NY)となり、価格差を取る「裁定取引」の結果米国に金が移送されたとみられる。通常は米国への輸出は1トン未満となっている。2つ目は、インド、香港向けが激減したこと。インドは3月の6.6トンから4月は0.5トンに(前年同月は約59トン)。香港は1キロ(同3.4トン)と激減した。いずれも経済封鎖による影響で、インドは国際線空路も閉ざしていたこともある。

インドはちょうどヒンズー教の春の祭典のシーズンに、全土ロックダウンが被ることになった。縁起のいいこの季節は婚礼シーズンでもある。国際ニュースなどでは、3密を避けるためにテレ結婚式なるものまで現れているらしいのだが、ほとんどが式自体を先送りしたとみられる。その結果が金輸入の激減として現れている。インドの金需要の多くは、婚礼需要であって婚姻の先送りは需要も先送られたことを意味する。いつに?秋に!!11月ごろに集中する。24歳以下の若者が全人口の半分6憶人ほどいる国。年間の婚礼数も2000万組ともされる。秋になっても感染拡大がとまっていなければ、話は変わるが、落ち着いていれば先送りされた需要、ペントアップ・ディマンドの山が訪れ需給が締まることになる。基礎需給も馬鹿にはできない。
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1 コメント

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Unknown (fairlane)
2020-05-31 22:42:53
LBMAのラージバー400オンスをいままでCMEが受け入れてなかったのを解禁したとなると、それは現物をCMEに渡しますよね 裁定取引はどうも先物業者が注文受け付けなかったらしいですし
 なんで今までLBMA400オンス CME100オンスだったのでしょうね 実に不思議 精錬所ストップでそこを付かれて銀行が大損
 日本で小麦粉がいまでも店頭で不足してますが、25kg単位なら倉庫に山積みになってるんですよね 家庭用に1kg単位にする作業が追いついていないだけで デリバリーは時間が経てば解消しますが、相場は待ってはくれない 面白いことが起こったなぁと感心してます

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