亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

見極めにくい市場環境  

2020年06月03日 23時09分13秒 | 金融市場の話題

前日はドイツ株(DAX指数)の3.75%上昇を筆頭に欧州主要国の株高が目立ち、軒並み2%以上の上昇となった。本日も同じでドイツDAXに引っ張られる形で、欧州主要指数は軒並み2%以上の上昇となっている。今週は4日に欧州中銀(ECB)の定例理事会が予定されている。この会合では一段の景気支援策として、資金供給枠(パンデミック緊急購入プログラム)を5000憶ユーロ(約60兆円)拡大すると見られており、中央銀行によるサポートの下、米国同様、最悪期を脱したとの期待に後押しされた株高とみられる。ECBが何とかしてくれるということか、特にイタリアなどは。

今週は5日に5月の米雇用統計の発表が予定されている。失業率は4月の14.7%から市場予想では19.5%への上昇が見込まれている。前月比での雇用者数予想は830万人の減少となっている。本日はADP全米雇用報告・民間就業者数の発表があったが、前月の2023万6000人減に対し、875万人減が市場予想となっていた。結果は、267万人の減少に。数字は悪い。しかし大きく予想を下回ったことが評価されそうだ。4月の数字も、1955万7000人に修正された。

この結果が明らかになった時点で、NY金は20ドル超売られている。これから取引が始まる株高リスクオンを予見して売りが出ているのだろう。このところ連日の上昇でNasdaqは2月に記録した過去最高値は指呼の間だし、S&P500種の戻りも強い。ダウも上値の抵抗ライン2万5000ドルを抜けてきた。S&P総合500種の足元の株価収益率(PER)は21.2倍と2002年以降で最も高いとされる。これはかなり割高を意味する。全米で広がる人種差別抗議デモは、多分にこの間の新型コロナロックダウンに関連するストレスも加味されていると思われるが、ここまでくると企業収益についてもマイナス材料と思われる。それでも上げる株価には、乗り遅れるリスクに背中を押された(この場合)ロボットの買いが多いのではないかと思われる

株式市場(ウォールストリート)はFRBの大量資金供給により実体経済(メインストリート)から切り離されてしまったとの指摘がある。もし下がったとしてもFRBや米議会が無制限に支援してくれるとの期待が先行するならば、これこそモラルハザードにつき、放置するのも一方ということになる。市場の動きも宇宙規模の通貨供給で、それぞれの市場の動きが果たして正常化を織り込んでいるのか、たまさかなイレギュラーなものなのかの見極めが難しくなっている。

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