亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金は4連騰で2011年来の戻り高値更新、社債相場も上昇中

2020年07月09日 12時36分20秒 | 金市場
8日の金市場は、アジアからロンドンの早朝にかけては目立った動きなく、ほぼ横ばいで推移した。ロンドンの時間帯に入ったころから買いが先行する流れに転じ、前日同様NYの通常取引入り後に上昇ピッチが上がった。前日の高値(1810.80ドル)を抜くと、売り物をこなしながら水準を切り上げ、1829.80ドルまで買われることになった。その後も切り上げた水準を維持し、1820ドル近辺をほぼ横ばいで推移し取引を終えた。NYコメックスの通常取引終値は1820.60ドル、前日比10.70ドル高となった。取引時間中の高値および終値ともに2011年9月14日以来8年10カ月ぶりの高値水準となる。足元の上昇相場は、何かのイベントに反応して駆け上がり高値を付ける展開と異なるために、持続性があると思われる。

この日の株式市場は反発で主要3指数ともに上昇。ナスダック総合株指数は過去最高値を更新している。買われ過ぎを指摘する声も多いが、ハイテク成長期待銘柄特有の低金利をテコにした上昇が続いている。米連邦準備理事会(FRB)が、従来の量的緩和策から社債の買取りや企業融資に乗り出すなど信用緩和策に力を入れたことが、株高を持続させていると思われる。

この点で目立つのは、ほとんど報道されることはないが、米国の社債市場の値上がりも目立っている。投資適格社債で構成される債券ETFの中には、7月に入ってからナスダック同様に過去最高値の更新を続けているものもある。もともと昨年時点で債券市場はマイナス利回り債が続出するなど過熱が指摘され、FRB自体も懸念事項に挙げていたほどだった。それがコロナ禍で、非常事態につき「とにかく資金注入」ということになり、再びバブルの様相を帯びている。しかし環境が変わり、景気実態を見ながらの対応となりFRBは資金供給を続けている。こうした流れも金市場にはプラスに働いていると思われる。

今週はFRB高官のWeb会議などを通した発言が目立っているが、このところの雇用統計など好調な経済指標を歓迎しながらも、問題はここからで、この先の回復は逆風に直面し頭打ちになるのではとの慎重な見通しが多いようだ。もちろんメンバー間に温度差があり、「雇用者のほとんどは90日以内に復職する、年末の失業率は8%を下回る可能性が高い(セントルイス連銀ブラード総裁)」という楽観論もある。
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