亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金市場と新型コロナ第1波拡大長期化

2020年07月13日 20時58分01秒 | 金市場
日本国内でも東京など感染者数の増加が目立ち、いよいよ次のステージに入りそうな状況になってきた。米国では1日の新規感染者数が過去最多の記録を更新、7月12日までの4日連続で約6万人と拡大がとまらない。入院率と陽性率もアリゾナ、カリフォルニア、フロリダ、テキサスの各州で増加、過去1週間では全米17州で感染者が前週より増加となっている。米ABCテレビはウイルスが変異し感染力を高めた可能性を指摘する専門家がいると報じていた。米国でも感染防止のためのマスク着用が強く勧めらはじめているが、10日はダラス地区連銀のカプラン総裁が、マスク着用で感染拡大を遅らせることが景気回復にとって非常に重要とした。テレビのビジネスインタビューに答えたもので、マスク着用や医療規則の適切な実践こそがもっとも重要な経済政策になると指摘している。連銀総裁がマスク装着の必要性に言及とは、やや意外感のあるニュースだが、米連邦準備理事会(FRB)にとっても政策の時間軸という面で感染拡大が想定外になりつつあることによる。

〇FRBに政策の見直しを迫る感染拡大長期化

というのも、米国政府による失業給付の増額措置や企業向けの雇用支援策は、おおむね6月末から長く て9月末までとなっているが、これはこの時期までには感染拡大が下火になることを想定してのもの。

米連邦準備制度理事会(FRB)による、企業サポートの一般社債の買い入れや融資の買取りも、緊急避難措置として9月末の時限的措置となっている。筆者は4月9日にプランだけ発表し、2カ月余りかけてスキームを固め本格的に6月15日から着手した(一般社債の買取り、事業会社向け融資制度をスタート)この政策こそ、株価を押し上げ、目先の米主要経済指標を急激に底打ちさせた政策だと思っている。それはFRBがこれまでの「量的緩和策(QE)」から同じ資金供給でも現場に踏み込む形の「信用緩和策」に転じたことによる。より即効性のある政策への踏み込みは、安心感とともに実際に効果が期待できる。

 しかし、「伝家の宝刀(連銀法の緊急避難条項)」を抜くにあたり、切った期限が9月末だった。米国政府による失業給付の増額措置や企業向けの雇用支援策も、おおむね7月末から長くて9月末までとなっている。7月8日には米航空大手ユナイテッド航空が、全従業員の4割に当たる3万6000人を削減する可能性があると社内で通知したと報じられた。政府支援が9月末で切れることを映したものと思われるが、小売業を中心に幅広い業種で、再び人員削減や一時帰休の発表が増える可能性がある。
足元の感染拡大は景気回復を抑え低迷の長期化を思わせるもの。政府とFRBにとっても誤算ということになり、追加対応を求められる事態が予想されるもの。地区連銀の総裁がマスクの着用とともにソーシャル・ディスタンシングなど医療規則の実践が「重要な経済政策」とまで言い切る現実の裏に、「誤算」への対応を迫られる近い将来のFRBの危機感が表れていると思う。NY金は1800ドル台を固める動きが続きそうだ。

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