亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

イベントの多い週、米議会に注目

2020年08月03日 20時36分40秒 | 金市場
先週は週初の27日にここで、「週内に2000ドルにトライという展開があっても不思議でなくなった」と書いた。月末31日に2005.40ドルまで上値を見て2000ドルは超えた。しかし、これは前日にNYコメックスの“Active month(中心限月)”が8月物から12月物に変わったことによる、いわば「下駄ばき」の価格ゆえに、当たったと自慢する故もない。上値を追って2000ドルにトライしたというのは、間違いではなかろう。

それにしても、回転が利いているゆえに上値追いの動きも早かった。実際に、先週末発表されたCFTC(米商品先物取引委員会)のデータでは、7月28日までの1週間でファンド(非商業筋)は買い建て(ロング)を減らし、売り建て(ショート)を増やした結果、ネットの買い残は前週から重量換算で92トン減少し737トン(オプション取引除く)となっていた。新規資金流入の中でファンド間で売り買いを繰り返し、いわゆる“回転が利いている” 状態を思わせるもの。買い残の絶対値からは、過熱感は感じさせないと言える。それでも、さすがに先週後半以降の上昇加速はロングを大きく増やした結果と思われ、買われ過ぎ感は否めない。

それにしても、この2週間余りのNY金の上昇相場は、FRBの「ゼロ金利策の長期維持方針+量的緩和策の継続」という基盤の上で、新型コロナ感染の爆発的な拡大と景気回復失速懸念に米中緊張の高まり、ドルの急落、実質金利のマイナス深化などなどが重なったもので、確かに複合的ではある。週明けの本日は、またアジアの薄い時間帯に2009,50ドルまで付けたことで、本日のNYの展開が見ものということになった。7月は結局月間で10.3%と2016年2月以来の月間上昇率となったが、そろそろ一巡感が出てもおかしくなないタイミングか。ただし、今週がイベント盛りだくさんの週ゆえに、今週は2000ドルを挟んで行ったり来たりで、そのまま本日の2009.50ドルか、あるいは、この後に付ける高値が当面の上値ということになるのか、といったところか。

自分としては、米国議会の追加支援策を巡る折衝、協議がどうなるのかが、今週の最大の材料と思ってみている。先週はゆえに、政治リスクとして取りあげた。

7月末には失業給付の特例が失効したのをはじめ家賃の支払いや学生ローンの返済を猶予する措置も失効した。影響が大きいのは州政府の失業給付(平均週370ドル)に連邦政府が600ドルを上乗せていた支援策で、足元で2500万人が対象となっていたもの。今週から少なくとも関連法が成立するまで特別加算が消えることになった。これをいつ、どう復活させるか否かが、足元で新規失業保険申請件数が増えている中で、センチメントに影響を与えると思われる。米議会の日程は今週7日までで、その後は夏休みに入る予定。緊急事態ゆえに休会しない可能性はあるものの未定。決まらないまま休会となると9月まで雇用対策他が宙に浮くことになる。これが最悪のケースと思われ、金は買われることになりのではないかと。おそらく、合理的判断という面では何らかの妥協は成立する。しかし、必ずしも合理的でないのが政治的判断。

本日も価格展開について、いろいろ書きましたが、あくまで参考という程度。言うまでもなく判断は自身の責任おいてということで。

今夜は22時10分頃からStock Voice TVにて電話出演で金市場についてしゃべる予定。月に1度、月曜日の午前にやっており、夜は初めて。
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