亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

外野から高みの見物のFOMC

2020年09月15日 22時24分46秒 | 金市場
今週のイベントは本日から始まる連邦公開市場委員会(FOMC)だが、政策内容についてはほぼ織り込み済みとなっている。というのも8月27日に予定されていたジャクソンホール経済シンポジウムで予定されていたパウエルFRB議長の講演だったが、最初の発言が臨時のFOMCを開いたとして、その内容を発表するという意表を突くものだったことによる。

議長はそのまま、既に報じられているように、最大雇用の確保と目標インフレ率平均2%まで利上げは見送る旨の新機軸を発表した。2%を下回る期間を相殺するために2%超を超える期間も利上げは見送るという案は、以前から議論に上がっていたもので目新しさはない。それゆえ臨時のFOMCというサプライズを演出することで、市場にインパクトを与えたかったのでは、との指摘があり、その通りだろう。

そもそもFOMCの年内の開催日程からも、それは納得できる。というのも、今回の会合は11月3日の米大統領選前最後のFOMCだからだ。次回は11月4~5日と選挙翌日の開催となる。つまり選挙に影響を与える目立った政策変更は避けるのが一般的で、ゆえにゼロ金利を長期に確約するフォワードガイダンスの導入などには踏み切りにくい。しかし、さりとて何らの手を打たないというわけにもいかず、半ば織り込み済みの“新機軸”だが、発表方法を演出することで市場に緩和策の長期化を印象付けるということに。

したがって今回の会合の注目点は、メンバー全員の経済見通し、例のドットチャートの内容と、新機軸を打ち出す具体的な方策の発表にあるというのが大勢的な捉え方となっている。

先週9月10日のここで、1900ドル台で滞留中の金価格について値固め的な期間は先行きを考えると有益として、次のように書いた。「来週のFOMCは、言われているようなフォワードガイダンスなど明確なものを示すことなく通過して、肩透かし的な流れで(金は)売られたりして月末まで調整継続でOKではないかと思ったりする」とした。そもそも、先行して発表してしまったゆえに、期待していれば「肩透かし」になるのではと思ったからだ。

ただし、先週の米国議会にて新型コロナ支援追加法案が、共和民主双方の選挙をにらんだ政争の具となり、早期の成立が難しくなったことを受け、FOMCが何らかの動きを取る可能性が生まれている(それでも無いと思うが・・)。現地時間16日の午後に声明文他が発表されるが、その前の午前8時半に発表される8月の小売売上高の注目度が上がることになりそうだ。
市場センチメントを読みながら動くFRBの動きを、外野から高みの見物という感じでおもしろい(very interesting)。
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