亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

不安定さ増す米株式市場、益出し売り先行のNY金

2020年09月18日 22時20分13秒 | 金市場
想定内の内容にとどまった米連邦公開市場委員会(FOMC)を終えて、目先の材料出尽くし感が指摘できる状況にある。現在の金市場は、マクロの超緩和環境が今後数年は続く見込み以外、方向性を見出す手掛かり難に陥っている。ここまで幅広い資金を集めて上昇を続けてきたアップルやフェイスブック、アマゾンなどハイテク株に高値警戒感から売りが広がり、株式市場全般が不安定な動きが目立っていることも、金市場では逆に上値の重さを感じさせている。

というのも、実質金利がマイナスに転じる中で、想定以上の上値追いを続けてきたのが高PER(株価収益率)のハイテク株であり、それは金価格も同じだからだ。にもかかわらず、規模の大きな株価の下落時に金は逆に値を上げてきたという経験則から、株式市場の買い手が同時に金市場の買い手になるという、このところの市場動向も株式市場の変調を金市場の弱気材料として捉える見方が生まれている。といっても、これはファンドの運用プログラム上の話であって、個人投資家などには、そうした認識は薄いと思われる。どうやら株式市場が変調をきたしていそうなので、利益が乗っている金を現金化しておこうという流れか。それは、どちらが正しいかという話でもない。

実際に米国株式市場では、このところ大型M&A(合併・買収)や新規株式公開(IPO)が盛んに行われている。IPOの場合、公開初日に買いが殺到し想定外の初値が付くなど、バブルの様相も懸念されている。不測の事態に備え現金化という動きも金市場の上値の重さに投影されているのかもしれない。この日の金市場は、アジア時間のスタート時から売りが先行する流れになったのは、その前のNYの時間外の流れを受けたものとみられた。興味深いのは、17日のアジアの午後、さらにロンドンの時間帯からNYの通常取引を通じて、1950ドル前後での狭い価格帯での推移となったこと。NYの午前に下振れの動きが見られ1938.20ドルまで売られたものの、直ぐに切り返し1950ドルに収れんした。そしてその水準を維持し取引を終了した。NYコメックスの通常取引は、前日比20.60ドル安の1949.90ドルで終了となった。引値に注目としたが17日時点で1950ドルが下値の節目という印象。

昨日触れたように週次の失業保険新規申請件数が前週比3万3000件減少の86万件となった。3週連続で100万件割れとなっているものの、水準自体は歴史的に見ても高く米労働市場の回復ピッチがここにきて足踏み状態となっていることを表す。今後、消費者信頼感指数など個人消費の動向を占う上で指標となりそうなマインド指数が注目されることになる。

明日は夕刻17時からネット・ライブで金市場の注目点を取り上げましょう。。。
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