亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

バイデン政権、嵐の中で出港準備

2020年11月09日 10時31分00秒 | 金市場
世論調査の支持率を基にしたホワイトハウスから上下両院まで民主という「ブルーウェーブ」出現観測から、激戦州のひとつで象徴的なフロリダを取ったことで一転してトランプ優勢の見方が台頭。しかし、その後、バイデンほぼ当確、しかし上院は支配できない可能性と、二転三転した米選挙戦。ペンシルバニアでの当確が伝えられ、それでもバイデン陣営は慎重姿勢だったが、他の激戦州の開票状況も把握した上で報じられているように7日に、勝利宣言ということになった。

トランプ再選を予想していた専門家の中には、バイデンがほぼ当確に傾く状況の中で、トランプ本人同様、民主党のでっち上げの不正の結果、自分の予想が狂ってしまったという論調を張る人もいる。・・・そうなんですか、という以外ない。郵便投票の受付締め切り日の基準が異なる州があるのは、まさにアメリカであって州ごとの自治が尊重されているわけで、そのカウント(開票)を止めろというのも無謀だろう。憲法違反ではないか。実際に州の地裁により却下されている。共和党議員の中でも、その主張に異を唱える向きは多いとされる。

トランプ大統領は敗北宣言はせず、民主党側の不正を理由に選挙の無効を唱え、法廷闘争に入るとされる。当面は時間稼ぎということで、まずは12月14日の選挙人による投票日をペンディングでやり過ごそうということか。トランプ大統領は、最高裁まで戦うとしているが、その前の段階で州ベースの訴えに際し「不正の具体的な証拠」を提示することから始まる。そもそも、仮に最高裁まで行った場合、保守派判事が過半を占めることから自分に有利な結果を導き出せるという判断は、もろに本人の希望的観測であって難しいと思う。独裁政権の新興国ならまだしも、先日も書いたようにアメリカの司法制度を侮ってはいけない。政権から独立しているとされるFRB(米連邦準備理事会)とも質的に異なる独立性を有しているのが連邦裁判所であって、憲法を基本に判断を下していく。さらに政権移行がスムースに進まないことでもたらされる政治的不安定性は裁判所も極力避けようとすることから、司法判断は早まると思われる。やっている途中で、トランプ陣営が、もういいよ!と投げ出すかも。

先週後半の市場は、一足早く選挙結果を織り込みにかかったのは、報じられている通り。ただし、上院での共和党優勢は維持され「ねじれ議会」がバイデン新政権を牽制することから、公約に掲げてきた企業や富裕層への増税案が阻止され、バランスの取れた政策内容となるとの期待は、年内結論は出ないことになった。ジョージア州の共和・民主両候補ともに投票率が勝利に必要な過半を越えられず2021年1月5日に決選投票ということに。また、同時に行われた上院補選も同様に決戦投票となり、それまでは大勢は決せずということに。結果によっては、ブルー・ウェーブという可能性が残ることになった。
先々週の10月30日のここで、「今週が、当面の2番底というイメージで見ている」と書いた。
前日の10月29日にNY金は一時1859.60ドル、大阪取引所の金先物は6200円台まで下値を見ていたが、結局、そこから反転ということになった。NY金は1930~1980ドルのレンジに戻り、上値追いの材料待ち。
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