亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金の押し上げ基盤に変化なし

2020年11月11日 19時24分39秒 | 金市場
週明け早々に米製薬大手ファイザーによる開発中の新型コロナワクチンの後期臨床試験で、90%以上の有効性を示したとの結果発表に広範囲に反応した市場。いわばファイザー・タントラム(tantrum、かんしゃく)に見舞われた市場にあって、1日で5%近い下げとなった金市場だったが、10日は売られ過ぎ感から買戻しの動きが入り反発となった。もともとワクチンの有効性に対する緊急使用承認基準は、米政府が早期の開発を目指したこともあり50%と低めに設定されていた。米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長も75%以上が望ましいが、50~60%程度も許容できるとしたとされる。にわかに飛び出した90%の有効性は意外感があり、経済活動正常化への期待は一気に高まり、先取りが身上の市場で織り込みが前のめりに進み、金市場ではファンドのプログラムがヒット。値動きが大きくなったという展開。

10日の金の上昇は、いわゆる自律反発という印象。利益の乗ったショート(空売り)の買戻しが入っているとみられる。ただし、この急落をチャンスとばかり、アジアの実需(現物買い)も見られているようだ。終日プラス圏で推移し、NYの早朝には1890ドルに接近するも、結局、1900ドルを前に押し戻された。結局本日11日の日本時間18時までの展開は、前日の終値近辺での値動きに始終している。

今回のファイザーと独ビオンテックのワクチンについては、やはりマイナス80℃程度という超低温での保存が必要など、投与にあたってのインフラをどうするかというのが、壁になりそうだ。まぁ、何とかするんだろうが・・。いずれにしても、他にも最終治験が進んでいるワクチンが複数あり、近いうちに発表されるものもあるとされる。

その一方で今朝驚いたのが、米国での1日の新規感染者数が16万5000人を超えた(ABC)というニュース。2週間ほど前は8万人を越えたということで、騒いでいたと思うがいやはや。
全米50州すべてで感染者数は前週より増え、医療崩壊と呼べる地域も増えているとされる。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計では、8日時点で米国の感染者数の累計は1000万人を突破したとされる。経済への影響は避けられず、早急な対応策が求められる状況だが、政治の混迷は続いている。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが10日のメモで、「トランプ大統領による選挙結果を巡る法廷闘争を受け、市場が不安定化し、社会の緊張が高まり、米経済の回復に打撃になる恐れがある」と警告したとロイターは伝えていた。株式市場はワクチン開発に浮かれてバリュー株漁りが続いているということらしいが、どこまでもつか。金については、ワクチンが開発されたからといって、短時間でここまで金価格を押し上げてきた、超緩和策や各国政府債務の急増や企業財務の悪化などの基盤が変わることがなく、昨日も書いたが上昇相場は続くと思う。

しかし、マコネル上院院内総務など共和党議会指導部まで、トランプの法廷闘争に賛意をしめしているので、これもやり過ぎると金融市場も無視できなくなりそうだ。ノイズが大きくなり、分断の嵐とならねばよいが。米国経済はそうした状況に耐えられると思ってのことか。

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