亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

トランプ政権 レイムダックの開き直り

2020年11月20日 20時21分07秒 | 金市場
アストラゼネカにシューマー。強いて挙げるなら反応したのはアストラゼネカの方か。このところ方向感なくレンジ相場を下に試す動きが目立つ金市場だが、19日は特記事項ナシという展開で、ファンドの中で降りるところはジワジワ退出中という印象の展開となっている。こうした中で、一時は心理的節目の1850.00ドルまで売られたが水準を維持したものの、アジア時間から一貫して前日比マイナス圏で推移。結局1860ドル台で引けた。

英製薬会社アストラゼネカは、この日、オックスフォード大学と開発中の新型コロナワクチンの臨床試験の初期データを発表。こちらは高齢者を含む全ての被験者に抗体反応が確認されたとした。高齢者を含むと、わざわざ指摘したのがポイントか。保管方法なども超低温などの特殊な環境は必要ないとしている。年内には承認申請に進む意向としている。米ファイザーやモデルナのワクチンも年内の供給を目指しており、来年以降の正常化への期待がますます高まることになった。

NY時間の午後には、追加財政協議再開との話も加わった。米経済チャンネルCNBCが、民主党上院トップのシューマー院内総務が、追加の経済対策法案を巡り、共和党上院トップのマコネル院内総務が協議再開に合意したと述べたと伝えた。この話は株式市場には効果あり、
マイナス圏で推移していたダウ30種とS&P500種は、その後プラス圏に浮上し反発で取引を終了。金市場にとっても朗報といえるが、弾性を失っている金市場に目立った反応は見られなかった。「拡張財政=金の押し上げ要因」というよりも「正常化で逃避需要後退」という連想からか、金市場に目立った反応は見られなかった。それとも、株と違って、そもそも金市場は協議を再開するだけでは意味はないことを知っているのか・・・。

この日発表された、米新規失業保険申請件数は14日までの1週間で74万2000件と5週ぶりに前週比で増加となり、市場予想の71万件を上回った。新型コロナ感染拡大による新たな事業閉鎖により一時解雇が増え、回復が鈍化していることを思わせる内容。今週発表された10月の小売売上高が前月比で大きく減速となっていたが、いよいよ個人消費を支える雇用の改善が鈍化しているとの印象。この分だと、米国の10-12月期GDPは、予想を下回る低成長ということか。

賃貸住宅の家賃が払えない住人が増えているのは、この春からのことだが、各種特例措置などが切れて借り手もさることながら、貸し手つまり家主の延滞も増えているらしい。借り入れで集合住宅を建てたものの、新型コロナで目算が大きく狂うことになった。ただし、銀行は前倒しで引当金を積んでいる様子。今後の問題は、想定の範囲内に収まるか否かということに。


今週は米連邦準備理事会(FRB)高官の発言が連日伝えられている。19日は、ダラス連銀のカプラン総裁が、21年の米経済は強いと予想するとした上で、感染拡大で「経済のリスクは全て下向き」で、経済が再びリセッションに陥ることも除外しないと警告した。クリーブランド連銀のメスター総裁は、FRBは可能な限り最大の緩和策を供給しているとした上で、コロナ禍の経済は金融政策よりも財政支援がより効果的だとし、財政支援の欠如に懸念を表明した。

そいうことで、これといった話題は、任期終了が迫る中で後のことなど知るか!!!とばかりに、外交面で異例の動きが目立っているトランプ政権。レイムダックの開き直りという感じだが、米国として禍根を残すことにならないのかと気になる。歴史に残るハチャメチャ政権になりつつある。これに意見する共和党保守派の重鎮が、前の選挙で居なくなっていることにも原因がありそうだ。

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