愛情注ぎ黄金の繭に 養蚕の季節 2万匹すくすく


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 【久米島】久米島町真謝の「久米島紬の里ユイマール館」で、生糸を生み出す蚕の飼育が季節を迎えている。同館では春と秋に養蚕を実施。約2万匹の蚕に3時間ごとに桑の葉を与え、大切に育てている。島伝来の蚕品種とされる「琉球多蚕繭」もすくすく育ち、美しい黄金の繭を作っている。

 久米島紬の技術を伝承する久米島紬保持団体の山城宗太郎代表(74)らが、織り手を中心に構成する久米島紬事業協同組合の組合員らに養蚕を指導している。
 山城代表によると、ことしは台風の影響で蚕の餌となる桑が不足し、島中から葉をかき集めたという。「蚕は約3時間で桑の葉を食べるので、1日7回餌をやっている。健康な蚕を育てるために食べ残しの葉や糞(ふん)は毎日取り除いて清潔に保つ。なかなか手が掛かるんだよ」と説明する。
 11月中旬から下旬には蚕が繭を作り、真綿作りや糸つむぎなどの作業が行われる。2万匹の蚕から4着ほどの着物を作ることができるという。
 別室では女性たちが繭をほぐす真綿作りに取り組んでいた。織り手4年目の伊是名順子さん(60)は「繭は油分があるので、作業していると手がツルツルになるのよ」と笑顔を見せる。「久米島紬は奥が深い。全ての作業を一人で行うので責任も重いが、反物が出来上がった時は達成感がある」と話した。

島伝来の蚕品種とされる琉球多蚕繭が作る黄金色の繭を見詰める山城宗太郎代表=21日、久米島町真謝の久米島紬の里ユイマール館
糸を生み出す大切な蚕に桑の葉を与える久米島紬事業協同組合の女性たち