ここのところ金価格が堅調だ。円ベースの金価格は先週末で1グラムあたり4800円台だが、1月中旬の安値から見ると1割程度の値上がりとなっている。
円建ての金価格はドル建ての国際価格に為替レートを掛けたものだ。対米ドルで円高が進んだにも関わらず円ベースの金価格が上昇したということは、金の国際価格が大いに上昇したということを意味する。
金の価格形成には、資源価格としての側面と、通貨としての側面という2つの異なる要素がある。
一般に景気が良くなると工業原料としての金に対する需要が高まるので、金価格が上昇する。この場合、原油などの資源と同様に金価格が上昇する。
また、宝飾品の原材料としても需要がある。人口が多く成長率が高い中国とインドの人々が金を好む傾向があることは、近年、金投資のセールスマンが大いに強調した点だ。
他方、金には、世界の多くの中央銀行が資産として保有するような通貨としての側面がある。かつては「金本位制」と呼ばれる金との交換が通貨価値の裏付けだった時代があった。突発的な軍事衝突など、単に国が保証するに過ぎない通貨の価値が揺らぐような事態が起こると、金価格が上昇するのはこの性質による。仮に世界の通貨システムが大混乱に陥っても価値があろうという「究極の価値保蔵手段」としてのイメージが金にはある。
通貨として金を見ると、金を預けても金利が付かない。金価格とは金と通貨との交換比のことだが、通貨の側のメリットである金利が低下すると、金の相対的な価値が上昇する理屈だ。