私が観た「黄金のアフガニスタン」

(下)深く多彩な歴史を写す 和光大学名誉教授・前田耕作

【私が観た「黄金のアフガニスタン」】(下)深く多彩な歴史を写す 和光大学名誉教授・前田耕作
【私が観た「黄金のアフガニスタン」】(下)深く多彩な歴史を写す 和光大学名誉教授・前田耕作
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 平和であった1960年代のアフガニスタンはシルクロード・ブームの起点となり、多くの観光客であふれていた。首都カブールにはロンドン行きの客を呼び込むバスだまりがあって、アジア・ハイウエーを南のカンダハール経由で西へと疾走する若者たちであふれていた。

 アフガニスタンの平和は、王政から共和制へ、共和制から社会主義体制へと大国の思惑によって急速に国制が変わってゆく過程で生じた混乱のなかで失われていった。79年の旧ソ連軍のアフガニスタン侵攻が戦火を激化させ、こんにちなお、その余燼(よじん)に苦しんでいる。

 今回の特別展「黄金のアフガニスタン」は、激動する政治世界のなかにあって、ひたすらにアフガニスタンの歴史文化に魅せられた考古学者たちが発掘し、そしてその成果を受けとったアフガニスタンの人びとが果てしない戦火のもと、それらを国の魂として守り抜いた物語とともにある。

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