元職員の金貨窃盗で再発防止策公表、監督者も処分=日銀

元職員の金貨窃盗で再発防止策公表、監督者も処分=日銀
 5月15日、日銀(写真)は、同行発券局の元職員1人が都内の本店に保管されていた記念金貨を盗んだ事件を受け、発券局長ら管理・監督責任者の処分と再発防止策を公表した。2016年3月撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino)
[東京 15日 ロイター] - 日銀は15日、同行発券局の元職員1人が都内の本店に保管されていた記念金貨を盗んだ事件を受け、発券局長ら管理・監督責任者の処分と再発防止策を公表した。
被害は天皇陛下御在位60年記念の10万円金貨など計38枚、375万円分で、2017年11月27日から18年4月2日の間に盗まれたとみている。すでに逮捕されている元職員は4月20日付で懲戒免職となっている。
日銀では、職員による不祥事を未然に防止できなかったことに加え、発見までに長期間を要したことから、「記念貨に関する事務処理体制には不備があった」と判断し、再発防止策を策定、公表した。
記念貨の鑑査作業は2人1組で行うとともに、全体の管理者も置き、ビデオによる撮影も行われているが、新たに鑑査・収容状況を近距離から監視する専担監視者を配置するほか、ビデオ録画の内容を定期的に検証する。また、これまで監事と検査役が行っていた貨幣収容袋の開封による金種と枚数の確認を担当部署でも定期的に行うなど事務処理体制の整備・強化を図る。
記念貨の取り扱いの確認・監視に「体制の整備あるいは現場の管理が不十分であったと認められる」として、発券局長、同局日本橋発券課長、同課企画役の3人をけん責とし、申し出を受けて給与を10%、3カ月間返上。他の同課企画役1人を戒告とする処分を4月27日付で行った。
発券局担当理事に対しては、総裁が厳重注意するとともに、報酬を10%、3カ月返上する申し出を受理した。
会見した吉岡伸泰理事は、日銀の根幹である通貨にかかわる業務で不祥事が発生したことは「痛恨の極み」とし、「再発防止策を早急に実施し、信頼回復に努めたい」と語った。

伊藤純夫

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