名古屋城の金のしゃちほこ。2014年5月撮影。(写真/朝日新聞社)
名古屋城の金のしゃちほこ。2014年5月撮影。(写真/朝日新聞社)

 聞くと誰かに話したくなる、金のトリビア(雑学的なことや豆知識)は数多くある。アエラ増刊「AERAwithMONEY毎月3000円で純金投資」に掲載された中から、特に興味深いものを厳選した。著者は市場経済研究所顧問の岡本匡房さん。 

■金の意味と語源

 金とはいったいどういう意味で、その語源は何なのでしょうか。
金の原子記号「Au」は、ラテン語の「aurum」の最初の2文字をとったものといわれています。aurumは、ヘブライ語の光を意味する「or」、もしくは赤色を意味する「aus」からきたとされています。いわば「光」「赤色」というわけで、金色とはちょっと意味合いが異なるようです。

 また、英語とドイツ語のGOLDはいずれもサンスクリット語の「輝くもの」という意味で、こちらのほうが感じとしては少し金に近いように思われます。

 日本では古来、黄金と書き、「おうごん」とか「こがね」と呼ばれていました。「おうごん」というと、何か堅いイメージですが「こがね」というと「こがねのように波打つ稲穂」といった表現もありますから、柔らかな感じですね。

 もともと、金は単体では極めて柔らかい金属だけに、語源としては「こがね」というのが一番ぴったりするような気がいたします。

■しゃちほこの金の量

「尾張名古屋は城で持つ」といわれます。その名古屋を象徴するものといえば、名古屋城の天守閣を飾っている「金のしゃちほこ」でしょう。

 しゃちほこは最初、火除けの呪いとして作られましたが、のちに城主の権威を表すシンボルになりました。
名古屋のしゃちほこは木の芯に鉛の板を貼り、その上を銅板で覆い、最後に慶長大判を延ばして作るという手が込んだものでした。純度は84%と高く、東海道や美濃街道からも見えたとも。まさに、尾張徳川家の権威を天下に輝かせていたといえるでしょう。
ただ、残念なことに第2次世界大戦で焼失してしまいました。現在のしゃちほこは1959年10月に再建されたものです。

 ところで、このしゃちほこにはどのくらいの金が使われているのでしょうか。実は、しゃちほこは雄と雌の2体があり、使用している金の量が異なっているそうです。説明によりますと北側が雄で44.69キロ、南側が雌で43.39キロの金を使っているそうです。雄のほうが1キロ以上重いわけですが、もし今これを作ったら、雄も雌も同じ体重にするんでしょうね。

次のページ
実は金メッキ、激安