金の輸出量4割減 4~6月、価格急落で買い増える
今春に相場が急落した金の国外流出が減退している。財務省貿易統計によると4~6月の輸出量は29.8トンで、国内価格が高値をつけた1~3月から約4割減った。輸出から輸入を差し引いた流出量も4~6月は前期比6割減少。価格急落で国内消費者の金購入意欲が強まったとみられる。
輸出量は昨年7~9月以来の低い水準だった。一方で4~6月の輸入量は10.6トンと1~3月の約4倍に拡大、2008年10~12月以来の高水準となった。
日本は06年以降金の純輸出国。11年には年間100トン超が海外に流出した。国内消費者は高値で売り、安値で買う傾向が強い。消費者がバブル期に大量購入した金を相場高騰時に放出。国内需要で吸収しきれず、需要が増勢にある中国やインドに向かったとみられる。
国内の金価格は4月中旬から急落、東京商品取引所の金先物(期先物)は6月末は4月上旬から24%安かった。先行きが見通しにくいとみた消費者が金の放出を抑制した一方、割安感から買う動きも堅調だった。
「今後のインフレを懸念し、資産価値が目減りしにくい金で資産を防衛しようと考える消費者もいる」(地金商大手)もようだ。