【10月23日 AFP】地中深く埋蔵されている金を探すための、驚くべき目印を発見したと、オーストラリアの研究チームが22日、発表した。金鉱脈の上に生えているユーカリの木の葉に、微量の金が含まれていることが分かったという。

 新たな金鉱脈の発見はここ10年間で45%減少しており、各国の金保有量は縮小を続け、金価格は急騰している。だが、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された論文によると、今回の珍しい発見は、金鉱脈を探す人々にとって朗報になるかもしれない。

 ユーカリの木は、乾燥した地域で水を探すために地中深く根を張る。根は金を豊富に含む地層にも進入し、水分を吸い上げる際に微細な金属粒子を吸収する。研究チームは、ごく微量の金がユーカリの根に吸収され、木の内部を通って葉にまで到達することを明らかにしたという。

 業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(World Gold CouncilWGC)によると、文明の始まり以来、地球から抽出された金の量は17万4000トン以上に及ぶ。米地質調査所(US Geological SurveyUSGS)の2011年の推計では、世界の金の埋蔵量は5万1000トンとされている。

 金の価格は、2000年12月から今年3月の間に482%も急騰している。金の60%は宝飾品に使われるが、金は電子機器の重要な材料でもあり、がん治療などのための医療技術にも使用されている。

 研究チームは、豪州の南部と西部にある金の埋蔵地2か所で、ユーカリの木の葉・枝・樹皮と、腐葉土や土壌に金が含まれているかどうかを、X線画像を用いて調べた。

 高さが10メートル以上に成長することもあるユーカリの木は、地下にも非常に深く広い根系を持っており、地下40メートルに達したものも記録されている。

 金の濃度は、1トン当たり数百分の1から数千分の1グラムと極めて低いが、葉中の濃度が最も高いことを研究チームは明らかにした。「金はおそらく、植物にとっては毒であり、(葉などの)末端部位に移動されるのだろう」という。

 微量の金が植物で見つかったことはこれまでにもあったが、それらが吸収されたのか、風でそこに吹き飛ばされてきたのかは明らかになっていなかった。

 今回の最新の調査結果により、金鉱脈探査の精度を高め、持続的な金の供給を可能とする新技術の開発への機運が高まったと、論文の著者らは記している。(c)AFP