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[WGC] 2014年1Q、ファンダメンタルズが堅調であることを示唆

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2014年第1 四半期の金需要、
主なファンダメンタルズが引き続き堅調であることを示唆

 2014 年1 月〜3 月期についてワールド ゴールド カウンシルがまとめた最新の『ゴールド・デマンド・トレンド』によると、金の需要は過去5 年間の長期トレンドを構成する四半期平均需要水準へ戻りました。例外的な年となった2013 年の後、今年第1 四半期の金需要は1,074 トンとなり、前年同期とほぼ変わらない水準になりました。これは明らかに金市場の主なファンダメンタルズが引き続き堅調であることを示しています。

金需要全体の中で最も大きな割合を占める宝飾品向けの需要は、2014 年第1 四半期に合計571トンとなり、前年同期比で3%増加し、年初の需要としては2005 年以降で最も大幅な増加となりました。とりわけ、2013 年に金需要が世界最大となった中国では宝飾品の需要が10%上昇しました。

各国中央銀行が引き続き強い購入姿勢を示し、第1 四半期に122 トンの金を買い入れました。この購入額は2013 年第1 四半期に比べて6%低下していますが、これで各国中央銀行は13 四半期連続して金を買い越しており、保有資産のリスク分散化に引き続き取り組んでいることを示しています。

2014 年第1 四半期の総投資需要は282 トンで、前年同期の288 トンに比べ若干減少しました。金地金およびコイン向けは283 トンで、前年同期比で39%減少しました。同時期に、2012 年第4四半期以降初めて、四半期平均の金価格が上昇しています。需要の下落がとりわけ目立ったのはインドで、金地金やコインに対する投資が54%低下して45 トンとなりました。総選挙までの間、現金や金などその他資産の自由な移動が制限されることに加え、金の輸入に対する関税や規制などが要因となり、現金で購入する金の実需が減少しました。その一方で、金裏付け上場投資信託(ETF)からの流出は、2013 年第1 四半期が177 トンと顕著だったのに対し、今年第1 四半期はわずか0.2 トンに留まりました。

消費者需要は853 トンで、2013 年の大半を通して見られた水準を想定どおり下回りました。2013 年は金価格の低下を受けて金が買われ、消費者需要が記録的な水準まで上昇しました。2014 年第1四半期のデータは需要が長期平均需要トレンドへ戻り、5 年間の四半期平均水準である850 トンに並ぶ水準になったことを示しています。

ワールド ゴールド カウンシルのインベストメント・ストラテジー、マネージング・ディレクターのマーカス・グラブ(Marcus Grubb)は以下のように述べています。

「例外的な年となった2013 年の後、2014 年第1 四半期には金需要が1,074 トンと落ち着き、長期平均の需要パターンへ戻った兆しが見られます。金市場はアジアの宝飾品需要など、長期的な下支え環境が整ったことは明らかであり、需要環境を反映してポートフォリオの組み替えがなされ、金市場の底堅さと資産クラスとしての金の独特な性質を如実に示しています」。

金額ベースでは、2014 年第1 四半期の金需要は450 億米ドルとなり、2013 年第1 四半期に比べて21%低下しました。平均価格は1 オンス1,293 米ドルで、2013 年第1 四半期の平均価格を21%下回りました。

このレポートのポイントは以下のとおりです。

  • 世界の宝飾品向け総需要は第1 四半期に571 トンとなり、前年同期を3%上回りました。消費者向けが引き続き金需要の主な牽引役となりました。
  • 総投資需要は282 トンで、これに対し前年同期は288 トンでした。金地金およびコインに対する需要は前年に比べて39%低下し283 トンとなりました。しかし、同時期に四半期平均金価格が2012 年第4 四半期以降初めて上昇したため、投資に踏み切る前に金価格の長期的トレンドを示す明確なサインが出るのを見極めようとする個人投資家の様子見姿勢が強まりました。
  • ETF からの流出は0.2 トンにとどまり、2013 年第1 四半期の流出実績に比べて軽微の水準となりました。
  • 2014 年第1 四半期は中央銀行の買い越し高が再び100 トンを上回りました。この結果、各国中央銀行は資産のリスク分散化のため13 四半期連続して金を買い越しました。2014 年第1 四半期の各国中央銀行による買い越し高は122 トンで、前年を6%下回りました。
  • これらを踏まえると、データは例外的な2013 年の後、市場の主なファンダメンタルズ環境が整ったことを示しています。

2014 年第1 四半期の金需給データ

  • 第1 四半期の金需要は1,074 トンで、2013 年第1 四半期の1,077 トンをわずかに下回りま
  • した。
  • ETF からの流出はわずか0.2 トンまでに落ち着きました。金地金およびコインの需要は合計283 トンとなり、投資向け総需要は2013 年第1 四半期を2%下回る282 トンとなりました。
  • 宝飾品の需要は3%上昇して571 トンとなりました。中国では宝飾品の需要が10%上昇して203 トンとなり、その一方でインドでは9%低下し146 トンとなりました。
  • 第1 四半期のテクノロジー関連の需要は99 トンで、前年同期を4%下回りました。
  • 2014 年第1 四半期の金産出量は前年を6%上回る721 トンとなりました。金のリサイクル高は13%の低下となり、この結果、金の総供給量は前年同期を1%上回り、1,048 トンとなりました。
  • 各国中央銀行の買い越し高は122 トンで前年同期を6%下回りましたが、これで各国中央銀行は13 四半期連続しての買い越しとなりました。
  • 価格ベースでみた金需要は、2014 年第1 四半期に前年同期を21%下回る450 億米ドルとなりました。
  • 2014 年第1 四半期の平均金価格は1 オンス1,293 米ドルで、昨年を21%下回りました。

トムソンロイターGFMS の提供する総合データを掲載した『The Q1 2014 Gold Demand Trendsreport』はwww.gold.org/media ならびにwww.itunes.com からiPad アプリをダウンロードすることによりご覧いただけます。またビデオでもご覧いだけます。
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ワールド ゴールド カウンシルについて
ワールド ゴールド カウンシルは、金市場の育成を目的とする組織です。投資、宝飾、テクノロジー、政府関連分野において、金に対する持続的な需要を喚起するためのリーダーシップ活動を行っています。
ワールド ゴールド カウンシルは、金市場に関する真の洞察力を生かし、金をベースにしたソリューションやサービス、市場の育成を行っています。こうした活動を通じ、主な市場分野に金需要の構造的変化を喚起しています。
ワールド ゴールド カウンシルは国際金市場に対する洞察を提供することにより、富の保全や社会・環境面で金が果たせる役割についての理解を深める活動を行っています。
ワールド ゴールド カウンシルは世界の主要金鉱山会社をメンバーに持ち、英国本部のほかインド、アジア、欧州、米国などにオフィスを有しています。

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