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[WGC]2014 年3Q、世界の金需要はインド・米国・英国の堅調な宝飾品需要が目立つ

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2014年第3四半期の世界の金需要はインド・米国・英国の堅調な宝飾品需要が目立つ

ワールド ゴールド カウンシルがまとめた最新の『ゴールド・デマンド・トレンド』によると、2014年7?9月期の世界の金需要は、929トンとなり、前年同期比で2%減少しました。

宝飾品向けの総需要は534トンとやや下がり、例外的な高需要水準となった2013年同期比で4%減少しました。やや長期的な視点から見ると、2014年第3四半期の宝飾品向けの需要は、平均四半期需要である527.6トンをわずかに上回っています。2014年1月?9月の需要量は、需要が落ち込んだ2009年以降、引き続き幅広い上昇傾向を示しています。

全体的数字を振り返りますと、2014年第3四半期のインドにおける宝飾品向けの需要は、前年を60%上回り、183トンとなり、同国で2番目に高い第3四半期となりました。この上昇は、前政府が輸入規制を導入し、輸入関税を引き上げた昨年の第3四半期における需要後退を反映した面もありますが、同国の金宝飾品に対する欲求の回復を示すものでもあります。消費者の国内経済に対する自信の回復と、新政府に対する信頼が、積極的な気持ちに加わり、ディワーリ祭の準備期において強い購入姿勢が見られます。

2014年第3四半期の中国の宝飾品需要は、前年を39%下回りましたが、2012年第3四半期および5年間の四半期平均とほぼ同水準でした(それぞれ148.2トンと154.9トン)。一方、米国と英国では、持続する景気回復に支えられ、宝飾品需要は堅調でした。米国の宝飾品需要は前年を4%上回り、34トンとなり、2009年以降最も高い第3四半期となりました。英国の宝飾品需要は、5四半期連続で前年を上回りました。

2014年第3四半期の総投資需要(金地金およびコインへの投資と上場投資信託(ETF)投資を合わせたもの)は前年同期から6%増の204トンでした。しかしながら、金地金およびコインへの投資は21%減の246トンでした。これは、昨年未曾有の消費者需要の上昇が生じた後の、正常レベルへの調整を反映するものです。2014年1月?9月のETFの流出は、前年同期が699トンであったのに対し、84トンに止まりました。2014年第3四半期の金地金およびコインへの需要は、10年間の四半期平均である240.6トンに極めて近いものでした。2008年の金融危機以前の欧州の金地金およびコインへの需要が無いに等しかったことを考えると、この需要は注目に値します。

ワールド ゴールド カウンシルのインベストメント・ストラテジー、マネージング・ディレクターのマーカス・グラブ(Marcus Grubb)は以下のように述べています。

「今四半期の市場は、例外的な年となった2013 年以降、引き続き自信を取り戻し、中国は一息ついたものの、インドではディワーリ祭の準備期における購買が宝飾品購入を牽引しました。今四半期のインドおよび中国の数字は、例外的な四半期となった昨年を支えた要因を理解する必要性を強めています。2013年にインドは前政府が課した輸入制限と輸入関税の引き上げの影響を受けました。一方、中国では昨年四半期の例外的な購入が2014年の購入パターンを形成しました。
宝飾、投資、各国中央銀行、およびテクノロジーに対する、長期的な需要は引き続き堅調かつ多様性に富んでいます。世界中の人々が様々な時期に様々な理由で金を購入し、金市場特有のバランスの取れた性質を表しています。リサイクル量が7年連続して減少し、金産出量も今後ますます抑制が予想される中、物理的な金需要の見込みは引き続き堅調です。」

各国中央銀行による2014年第3四半期の金購入量は93トンで、15四半期連続で金を買い越しています。2014年1月?9月の各国中央銀行の金購入量は、前年同期が324トンであったのに対し、335トンとなりました。これは米ドル離れによる継続した分散化、地政学的緊張が続いていることなど、さまざまな要因によるものです。

テクノロジー関連の需要は、産業界が引き続き技術的用途に代替材料の使用を進めているため、98トンと前年同期を5%下回りました。

2014年第3四半期の総供給は前年同期から7%減少し、本年前期の金供給を取り巻く幅広いテーマが、引き続き見られました。金産出量は安定化しましたが(1%上昇し812トン)、リサイクル量は相当減少し、807トンであった2007年以降、最低の年となりました。

このレポートのポイントは以下のとおりです。

  • 宝飾品の需要は引き続き金需要の最大の構成要素であり、全需要の半分以上を占め、534トンと前年同期比で4%減少しました。宝飾品の需要はインドが後押しし、183トンと60%上昇しました。英国および米国の宝飾品需要も引き続き堅調です。中国の宝飾品需要は、宝飾品市場が昨年の例外的な高需要以降一息ついたため、147トンと39%減少しました。
  • 各国中央銀行による2014年第3四半期の金購入量は93トンで、前年同期比を9%下回ったものの、15四半期連続で金を買い越しています。
  • 総投資需要(金地金およびコインへの投資とETF への投資を合わせたもの)は6%上昇して204トンとなりました。しかしながら、未曾有の需要レベルを経験した昨年に比べ、金地金およびコインに対する需要は21%低下し、2013年第3四半期の312トンから2014年第3四半期は246トンとなりました。ETF からの流出は、前年同期が120トンであったのに対し、今四半期は41トンでした。
  • テクノロジー関連の需要は、産業界が引き続き技術的用途に代替材料の使用を進めているため、98トンと前年同期を5%下回りました。
  • 総供給は前年同期から7%減少して1,048トンとなりました。金産出量は1%とやや上昇して812トンとなりましたが、金のリサイクル量は引き続き減少し、前年同期を25%下回り、250トンとなり、2014年1月から9月までの総供給量は2007年以降最小レベルとなりました。

2014年第3四半期の金需給データ

  • 2014年第3四半期の金需要は929トンで、前年の953トンを2%下回りました。
  • 各国中央銀行の買い越し高は前年を9%下回り、101トンから93トンとなりました。
  • 金地金およびコインの総需要は前年を21%下回り、312トンから246トンとなりました。
  • ETFからの流出は、前年同期が120トンであったのに対し、今四半期は41トンとなりました。
  • 宝飾品の総需要は前年を4%下回り、556トンから534トンとなりました。
  • テクノロジー関連の需要は前年を5%下回り、103トンから98トンとなりました。
  • 総供給は昨年同期1,129トンから7%減少し1,048トンとなりました。

トムソンロイターGFMS の提供する総合データを掲載した『The Q2 2014 Gold Demand Trendsreport』はhttp://www.gold.org/supply-and-demand/gold-demand-trends でご覧いただけます。またビデオでもご覧いだけます。

ワールド ゴールド カウンシルについて
ワールド ゴールド カウンシルは、金市場の育成を目的とする組織です。投資、宝飾、テクノロジー、政府関連分野において、金に対する持続的な需要を喚起するためのリーダーシップ活動を行っています。
ワールド ゴールド カウンシルは、金市場に関する真の洞察力を生かし、金をベースにしたソリューションやサービス、市場の育成を行っています。こうした活動を通じ、主な市場分野に金需要の構造的変化を喚起しています。
ワールド ゴールド カウンシルは国際金市場に対する洞察を提供することにより、富の保全や社会・環境面で金が果たせる役割についての理解を深める活動を行っています。
ワールド ゴールド カウンシルは世界の主要金鉱山会社をメンバーに持ち、英国本部のほかインド、アジア、欧州、米国などにオフィスを有しています。

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