【2月18日 AFP】イスラエルの地中海沿岸沖で、これまでに発見された中で最大規模となる大量の金貨が、スキューバダイバーのグループによって発見された。金貨は1000年以上前の時代のもので、見つかった枚数は約2000枚に上るという。イスラエル考古学庁(Israel Antiquities AuthorityIAA)が17日、発表した。

 同庁は声明で「カイサリア(Caesarea)にある古代港湾遺跡内の海底で、イスラエル国内で発見された最大規模の金貨が、この数週間で見つかった」と述べた。

 カイサリアは、古代ローマ時代の港湾都市。地元ダイビングクラブのメンバーらによる今回の金貨の発見は、まさに偶然の出来事だった。考古学庁によると、総重量9キロのこの金貨の価値は「値段が付けられないほど貴重」だという。

「彼らは最初、ゲームで使うおもちゃのコインを見つけたと思った。しかしすぐに本物であることに気付き、クラブのコーチに伝えるため、数枚を拾い集めて急いで岸に戻った」と同庁は声明で述べた。

 現場には考古学庁の専門家らが招集され、909年~1171年に中東と北アフリカ地域の大半を支配していたファーティマ朝(Fatimid Caliphate)の「さまざまな額面の金貨約2000枚」がさらに見つかった。

 同庁の海洋考古学部門を率いるコビ・シャービット(Kobi Sharvit)氏によると、今後の発掘作業では、金貨の由来に関するより多くの情報の獲得が期待されているという。

 同氏は、この発見場所について「集めた税金を積んでエジプトの中央政府に向かう途中だった当時の財務省の公務船の残がいが沈んでいる可能性が高い」と指摘。さらには「この大量の金貨は、カイサリアに駐留し同市を警護していたファーティマ朝の軍隊駐屯地での給料を支払うためのものだった可能性もある」とした。

 一方で、「カイサリアなどの地中海沿岸都市と交易を行っていて、そこに沈没した大型商船に積まれていた金貨だとする説もある」とも説明している。

 発見された金貨の金銭的価値については、イスラエル考古学庁は明言を避けた。金貨は冬の嵐によって海底に露出したと同庁は推測している。

 同庁広報担当者はAFPの取材に対し、今回の発見は「非常に貴重なため、値段は付けられない」としながら、発見された金貨は国庫に帰属すると付け加えた。発見者への謝礼などはないという。(c)AFP