ゴールドコラム & 特集

GFMS Silver Survey 2015

前回まではGold Survey 2015をみてきましたが、今度はSilver Surveyです。この時期にはまさに矢継ぎ早にGFMSのSurveyの発表があります。最後のPGM Surveyも5/14つまりこのレポートの翌日に発表となります。今週はSilver Survey2015のサマリーから。



■2014年サマリー


2014年のシルバーの価格動向によって供給及び需要ともに、過去の記録を変えるような動きがありました。結果的には需給は約152トンの供給不足の一年となりました。



シルバーの価格の変動要因は、中国の経済成長の鈍化、機関投資家のコモディティ投資離れ、そして年後半のドル高の動きなどが入り混じったものでした。このようなネガティブな条件ばかりが目立つ裏で、コインと地金(バー)の販売は歴史的にも高いレベルを記録し、同様にETFも年末としては史上最高の19728トンを記録していることは注目に値します。


(米国Silver Eagle Coin販売量)

(Silver ETFの残高推移とシルバー価格推移)

(Comex Silver 投資家ロングポジションの推移)


宝飾分野と銀食器ではより大きく重たい商品が流行となっており、銀メッキのものよりも92.5%のスターリングシルバー、いわゆる「本物」指向が強くなっておりその需要が増えています。ただその中の唯一の例外が中国であり、中国を除いた世界の宝飾需要は12.9%(599トン)の増加となっています。中国の宝飾需要が復活したときには、宝飾需要は大きく伸びる可能性があります。工業用需要はトータル的にはほぼ昨年からの変化なし。分野的には太陽光電池用の需要が3年ぶりに増加。逆に電子材と感光材(写真用)の需要は減少しており、全体としての産業用需要は595トンで、前年比若干のマイナス。

供給は2010年以来の最高レベルとなり33,027トン。主に銀鉱山の生産増加による。鉱山生産は27,293トンで過去最高。これは前年比5%の伸び。逆にスクラップからの回収は、シルバー価格の低迷と過去の省シルバーの動き、そしてスクラップ市場でのスクラップの枯渇という条件が重なり、10年以上の間でもっとも少ない5,242トン。生産者のヘッジ売りが492トン。


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岡藤商事株式会社

プロフィール

池水 雄一

Yuichi Ikemizu

スタンダードバンク東京支店長

1990年クレディ・スイス銀行、1992年三井物産貴金属リーダー、2009年より世界一の金取引量を誇るスタンダードバンクの東京支店長に就任し、現在に至る。一貫して貴金属ディーリングに従事し、世界の貴金属ディーラーでBruce(池水氏のディーラー名)を知らない人はいないと言われている。著書に「THE GOLD ゴールドのすべて」など。

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