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北朝鮮の鉱山は建前上はすべて国営だが、内実はトンジュ(金主、新興富裕層)が所有、運営し莫大な利益を生んでいる。 また、その運営権を巡って地域住民との紛争が起きるなど様々なトラブルも生じている。

鉱山ビジネスの舞台は主に炭鉱だったが、最近では「金鉱」にもトンジュの潤沢な資金が流れ込んでいると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)市郊外の青岩(チョンアム)区域クムバウィ洞には、植民地時代に三菱鉱業(現・三菱マテリアル)が運営する「青岩金山」があった。金鉱は現在も操業中で、金正恩氏の秘密資金を運用する朝鮮労働党39号室や道の保衛部(秘密警察)、保安署(警察署)などが運営に携わっている。

個人による金の採掘は、もちろん禁止されていたが、90年代後半の大飢饉「苦難の行軍」の頃から、生き伸びるために多くの住民がなし崩し的に金の個人採掘に乗り出した。ところが、最近になってまたもや個人採掘が困難になる。採掘利権に目をつけた関連機関が莫大な額のワイロを要求しはじめたからだ。

そこで、今度は「鉱主」と呼ばれる人々が採掘ビジネスに参入する。莫大なワイロを支払える潤沢な資金を持つトンジュたちだ。

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トンジュは、まず金鉱を運営する各機関にワイロを払い、坑道の運営権を借り受ける。各坑道に5人から10人の作業員を配置し、採掘に当たらせる。掘り出した金の一部は鉱山管理局に上納する。こうした手順を踏むと、金鉱が正常に稼働しているかのように中央に報告することができるからだ。

「宝の山」なお手つかず


こうした利権システムが確立したせいか、青岩金山にはトンジュたちが多数押し寄せ、すべての坑道の運営権を押さえてしまったが、さらに、新たに坑道を掘るトンジュも現れている。今では、坑道の数は数百に及び、各地からやってきた数千人の人が働くようになった。

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かつての国営から大きく変わろうとしている北朝鮮の資源ビジネス環境だが、その潜在的魅力については韓国鉱物資源公社が2009年に発表した資料に詳しい。同資料によると、北朝鮮の金の埋蔵量は約2000トンに及び世界9位。金鉱は全国に点在しており、その数は1860、砂金の採取場まで含めると2300を超える。中でも平安北道の雲山(ウンサン)金山は埋蔵量が1000トンに及ぶと見積もられているが、まだその多くが採掘されないまま残っている。

ただし、いくら埋蔵量が多くても、北朝鮮は不安定要素だらけでリスクが高く海外企業の参入は難しい現状がある。私有財産を保護する法律やインフラなど投資の条件が整わない限り、海外からの投資は呼び込めないだろう。また、経験豊富な海外企業が北朝鮮に投資すれば、トンジュたちも一気に駆逐されるだろう。つまり、それまでがトンジュたちにとっての「ゴールドラッシュ」というわけだ。