VW問題に貴金属市場が動揺、「ディーゼル車離れ」を懸念

VW問題に貴金属市場が動揺、「ディーゼル車離れ」を懸念
 9月22日、独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス試験不正問題が、貴金属市場、とりわけプラチナ相場に影を落としている。6月撮影(2015年 ロイター/Anindito Mukherjee)
[ニューヨーク 22日 ロイター] - 独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス試験不正問題が、貴金属市場、とりわけプラチナ相場に影を落としている。今回の問題に関係しているディーゼルエンジンは、プラチナの世界需要の約半分を占める。消費者の「ディーゼル車離れ」の懸念が台頭している。
ディーゼル車向けの触媒に利用されるプラチナの価格は22日に3.6%下落。下落率はここ2年余りで最大となった。一方、ガソリン車向けの利用が多いパラジウムは0.6%の下落にとどまった。
懸念されているのは、ディーゼル業界が受ける打撃だけでない。一部アナリストは、VWの不祥事を契機に関連規制が強化され、欧州での長きにわたるディーゼル車人気に幕が下りる可能性もある、と指摘する。
トムソン・ロイターの金属リサーチ・予測チームのGFMSによると、欧州で昨年販売されたディーゼル車は900万台で、全体の約45%を占めた。
GFMSのシニアアナリスト、エリカ・ランネスタッド氏は、規制当局が業界全体に広がる規則違反を公表し、環境への配慮から欧州でガソリン車へのシフトが起これば、プラチナの「状況が変わる」可能性があると指摘した。
ただ、米国市場への影響は限られるとみられている。GFMSによると、米乗用車市場のディーゼル車のシェアは2013年が4.5%、14年は5.6%程度にとどまっている。

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