為替こうみる:金や南アランドの下落、米利上げ織り込み映す=シティG証 高島氏

[東京 11日 ロイター] -
<シティグループ証券 チーフFXストラテジスト 高島修氏>
市場は、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを開始する引締め局面入りへの備えを強めている。金の下落が象徴的だ。長らく続いた金融緩和局面では、潜在的なインフレヘッジの手段として、インフレ連動債などともに金融需要が金相場を支えた。今はその逆転現象が起きている。
金下落の影響もあってか、このところ産金国通貨の南アランドの下げが目立っている。多くの新興国通貨が中期的な下げ止まり傾向にある中、南アランドは対米ドルで最安値を更新している。
9月米雇用統計が下振れた後、急速に新興国ロングが積み上がった様子があったが、先週末の10月雇用統計の上振れで、そうした新興国ロングは既に一掃された。
その中にあって、南アランドが産銅国のチリや産油国のマレーシアに対しても下げていることは、市場の関心が資源相場の低調さから米引き締めに移りつつあることを感じさせる。
過去半年ほど新興国売りの象徴だったブラジルレアルが下げ渋り、むしろ南アランドに売りが集中し始めたことも、米利上げを織り込む動きと言えるのではないか。

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